リファラル採用が”最も定着する手法”に──企業の18.5%が評価、報酬より「紹介したくなる職場」
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リファラル採用が”最も定着する手法”に──企業の18.5%が評価、報酬より「紹介したくなる職場」

Branding, 2026.07.07 By 中村 尚人

採用手法の中で、いちばん人が辞めにくいのはどれだと思いますか。手厚い転職エージェント経由、と答えたくなるところですが、東京商工リサーチが2026年6月に6,475社へ聞いた調査では、定着率が最も高いと評価された手法は「リファラル採用(社員紹介)」で18.5%。転職エージェント紹介の5.4%を、3倍以上も上回りました。

しかも意外なことに、リファラルを導入している企業の約4割(40.9%)は紹介報酬を1円も払っていません。広告費もかけない、報酬も出さない——そんなチャネルが、なぜいちばん定着するのでしょう。

ヒントは「社員が本音で語れる魅力があるか」。裏を返せば、制度を作っただけでは回らない、ということでもあります。今日は、リファラルが機能する会社としない会社の分かれ目を、一緒に考えてみたいと思います。

東京商工リサーチが2026年6月に6,475社へ調査。定着率が最も高い採用手法としてリファラル採用を挙げた企業は18.5%で最多(「いずれも大差ない」を除く)、転職エージェント紹介(5.4%)を大きく上回った。

リファラルを導入する企業は49.2%と約半数。ただし紹介報酬を払っていない企業が40.9%を占め、報酬の多さより「紹介したくなる職場か」が成果を左右している。

制度を設けるだけでは機能しにくい。情報の透明性・紹介のしやすさ・全社での推進を整えることが、採用担当が次に取れる一歩になりそうだ。

定着率が高い採用手法、評価1位は「リファラル」でした

リファラル採用とは、自社の社員が知人・友人を候補者として紹介する採用手法です。東京商工リサーチが6,475社に「従業員の定着率が高いと感じる採用方法」を尋ねたところ、最も多かった回答は「いずれも大差ない」で40.4%。つまり多くの企業は、手法だけで定着が決まるとは考えていません。

その上で、差を感じている企業に絞ると、最多はリファラル採用の18.5%でした。ハローワーク経由の中途採用(12.1%)、新卒採用(10.4%)が続き、手厚いイメージのある転職エージェント紹介は5.4%で最下位。順位そのものより、「知り合いの紹介がいちばん続く」と感じている企業が一定数いる、という事実が示唆に富んでいます。

IMPACT MAP
「定着率が高い」と評価された採用手法(「いずれも大差ない」40.4%を除く/n=6,475社)
リファラル採用(社員紹介)18.5%
ハローワーク経由の中途採用12.1%
新卒採用10.4%
転職エージェント紹介5.4%

導入状況を見ると、リファラルを取り入れている企業は合計49.2%(リファラルのみ22.2%+アルムナイと併用27.0%)と、すでに約半数まで広がっています。大企業では60.4%、中小企業でも48.3%が導入しており、「一部の先進企業のもの」という段階は過ぎつつあるようです。人手不足やAI・DXで転職市場が動くなか、既存のチャネルを見直す動きが静かに進んでいるのかもしれません。

なぜ定着するのか──効いているのは「制度」ではなく「魅力」でした

リファラルの定着率が高いとされる理由は、シンプルです。紹介する社員が、仕事のやりがいだけでなく厳しさやリアルな実情まで、包み隠さず伝えられるから。候補者も本音で質問しやすく、入社後の「思っていたのと違う」が起きにくい。ギャップが小さいぶん、長く働きやすい、という構図です。

ここで大事なのが、報酬の話です。同じ調査で、リファラル導入企業のうち紹介報酬を「支払っていない」企業が40.9%と最多でした。お金で動かしているわけではないのに機能している——これは、成果を左右しているのが報酬額ではなく「社員が自社を勧めたいと思えるか」だということを、静かに物語っています。逆に言えば、社員が魅力を感じていない会社では、いくら制度を整えても紹介は生まれにくい、ということでもあります。

COMPARISON
制度だけの会社
紹介フォームはあるが動かない
社員が自社を語る言葉を持たず、勧める理由が見当たらない。運用は人事のマンパワー頼み。報酬を上げても紹介は増えない。

紹介が生まれる会社
社員が「勧めたい」と思える
やりがいも厳しさも本音で語れる情報がそろい、紹介の手間は最小。経営層も発信し、全社の取り組みになっている。

つまりリファラルは、採用手法であると同時に「うちの社員は、自社を人に勧めたいと思っているか」を映すリトマス紙でもあります。うまくいかないとき、直すべきは制度の細部ではなく、その手前の”魅力の状態”かもしれません。

リファラルを機能させる4つのステップ

「善意」や「人事の頑張り」に頼ると、紹介は一過性で終わりがちです。仕組みとして回すために、次の順番で整えてみるのはどうでしょうか。

STAGE FLOW
STAGE 1目的とKPIを具体的に決める
「定着率を上げたい」で止めず、「入社1年以内の離職を15%→5%に」など数値で置く。何のためのリファラルかを社内で言語化し、目標を共有します。

STAGE 2社員が「語れる材料」をそろえる
仕事内容・カルチャー・キャリアの実像を、社員が候補者に見せられる形に整えます。採用サイトや紹介資料など、透明な情報が定着の前提になります。

STAGE 3紹介の手間を最小化する
誰でも1〜2分で紹介できる導線を用意します。報酬の多さより「勧めやすさ」を優先。面倒な手続きは、それだけで紹介をあきらめさせてしまいます。

STAGE 4全社で回し、効果を測る
「仲間集めは全社のプロジェクト」と経営層が発信し、紹介数や定着を可視化して改善します。人事だけの取り組みにしないことが、継続の鍵です。

よくある疑問に答えます

FAQ
Q
リファラル採用の定着率は、なぜ高いのですか?

A
紹介する社員が仕事のやりがいや厳しさをありのまま伝えるため、入社後のギャップが起きにくいと言われます。TSR調査でも、定着率が高い手法としてリファラルを挙げた企業が18.5%と最多でした(「いずれも大差ない」を除く)。

Q
紹介報酬を出さないと、紹介は集まりませんか?

A
必ずしもそうとは限りません。同調査では、リファラル導入企業の40.9%が報酬を払っていません。報酬の有無より、社員が「勧めたい」と思える職場かどうかが成果を左右すると考えられます。

Q
中小企業でも、リファラル採用は機能しますか?

A
同調査では中小企業でも48.3%が導入し、定着率が高い手法にリファラルを挙げた割合は19%でした。規模より、情報の透明性と紹介のしやすさを整えることが鍵になりそうです。

C
Coachers編集部
HRブランディングの観点から

この調査でいちばん考えさせられたのは、「報酬を払っていない企業が4割なのに、いちばん定着している」という事実でした。リファラルは、外に広告を出す前に、まず社内に問いかける採用だと感じています。社員が自社をどう語るか——それがそのまま、候補者に届く”魅力”になるからです。

わたしたちがHRブランディングを大切にしているのも、同じ理由です。採用の魅力は、外向けの表現をつくる前に、まず社員自身が腹落ちしている必要がある。紹介資料や採用サイトの情報設計という視点で見ても、「社員が自分の言葉で語れる材料がそろっているか」は、リファラルの成否を分ける土台になります。

とはいえ、忙しい採用の現場で「社員の満足度から」と言われても、すぐには動きにくいですよね。わたしたちCoachersも同じ立場で試行錯誤しています。まずは「うちの社員は、知人に自社を勧めたいと思っているだろうか」という小さな問いから、一緒に始めてみませんか。

ACTIONS
自社の”紹介したくなる度”を社員に聞いてみる
「知人に自社を勧めたいか」を数人にヒアリング。数字より、勧めにくい理由が出てくれば、それが伸びしろです。

社員が候補者に見せられる情報を1枚に整える
仕事のやりがいと厳しさ、キャリアの実像を、社員が語りやすい形にまとめておくと紹介のハードルが下がります。

紹介の導線を「1〜2分で完了」まで簡素化する
紹介フォームや連絡手段が複雑なら、まずそこを削る。報酬制度の設計より先に、手間を減らすほうが効くことが多いです。

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