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リファラル採用が”最も定着する手法”に──企業の18.5%が評価、報酬より「紹介したくなる職場」
採用手法の中で、いちばん人が辞めにくいのはどれだと思いますか。手厚い転職エージェント経由、と答えたくなるところですが、東京商工リサーチが2026年6月に6,475社へ聞いた調査では、定着率が最も高いと評価された手法は「リファラル採用(社員紹介)」で18.5%。転職エージェント紹介の5.4%を、3倍以上も上回りました。
しかも意外なことに、リファラルを導入している企業の約4割(40.9%)は紹介報酬を1円も払っていません。広告費もかけない、報酬も出さない——そんなチャネルが、なぜいちばん定着するのでしょう。
ヒントは「社員が本音で語れる魅力があるか」。裏を返せば、制度を作っただけでは回らない、ということでもあります。今日は、リファラルが機能する会社としない会社の分かれ目を、一緒に考えてみたいと思います。
定着率が高い採用手法、評価1位は「リファラル」でした
リファラル採用とは、自社の社員が知人・友人を候補者として紹介する採用手法です。東京商工リサーチが6,475社に「従業員の定着率が高いと感じる採用方法」を尋ねたところ、最も多かった回答は「いずれも大差ない」で40.4%。つまり多くの企業は、手法だけで定着が決まるとは考えていません。
その上で、差を感じている企業に絞ると、最多はリファラル採用の18.5%でした。ハローワーク経由の中途採用(12.1%)、新卒採用(10.4%)が続き、手厚いイメージのある転職エージェント紹介は5.4%で最下位。順位そのものより、「知り合いの紹介がいちばん続く」と感じている企業が一定数いる、という事実が示唆に富んでいます。
導入状況を見ると、リファラルを取り入れている企業は合計49.2%(リファラルのみ22.2%+アルムナイと併用27.0%)と、すでに約半数まで広がっています。大企業では60.4%、中小企業でも48.3%が導入しており、「一部の先進企業のもの」という段階は過ぎつつあるようです。人手不足やAI・DXで転職市場が動くなか、既存のチャネルを見直す動きが静かに進んでいるのかもしれません。
なぜ定着するのか──効いているのは「制度」ではなく「魅力」でした
リファラルの定着率が高いとされる理由は、シンプルです。紹介する社員が、仕事のやりがいだけでなく厳しさやリアルな実情まで、包み隠さず伝えられるから。候補者も本音で質問しやすく、入社後の「思っていたのと違う」が起きにくい。ギャップが小さいぶん、長く働きやすい、という構図です。
ここで大事なのが、報酬の話です。同じ調査で、リファラル導入企業のうち紹介報酬を「支払っていない」企業が40.9%と最多でした。お金で動かしているわけではないのに機能している——これは、成果を左右しているのが報酬額ではなく「社員が自社を勧めたいと思えるか」だということを、静かに物語っています。逆に言えば、社員が魅力を感じていない会社では、いくら制度を整えても紹介は生まれにくい、ということでもあります。
つまりリファラルは、採用手法であると同時に「うちの社員は、自社を人に勧めたいと思っているか」を映すリトマス紙でもあります。うまくいかないとき、直すべきは制度の細部ではなく、その手前の”魅力の状態”かもしれません。
リファラルを機能させる4つのステップ
「善意」や「人事の頑張り」に頼ると、紹介は一過性で終わりがちです。仕組みとして回すために、次の順番で整えてみるのはどうでしょうか。
よくある疑問に答えます
この調査でいちばん考えさせられたのは、「報酬を払っていない企業が4割なのに、いちばん定着している」という事実でした。リファラルは、外に広告を出す前に、まず社内に問いかける採用だと感じています。社員が自社をどう語るか——それがそのまま、候補者に届く”魅力”になるからです。
わたしたちがHRブランディングを大切にしているのも、同じ理由です。採用の魅力は、外向けの表現をつくる前に、まず社員自身が腹落ちしている必要がある。紹介資料や採用サイトの情報設計という視点で見ても、「社員が自分の言葉で語れる材料がそろっているか」は、リファラルの成否を分ける土台になります。
とはいえ、忙しい採用の現場で「社員の満足度から」と言われても、すぐには動きにくいですよね。わたしたちCoachersも同じ立場で試行錯誤しています。まずは「うちの社員は、知人に自社を勧めたいと思っているだろうか」という小さな問いから、一緒に始めてみませんか。
- 東京商工リサーチ「『リファラル採用』 企業の半数に広がる 定着率はリファラルが新卒、転職エージェントを上回る」(2026年6月10日) https://www.tsr-net.co.jp/data/detail/1202969_1527.html
- HRプロ「リファラル採用、6,475社調査で企業の約半数が導入。定着率は新卒・転職エージェント紹介を上回る」 https://www.hrpro.co.jp/trend_news.php?news_no=3791