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技能継承の課題1位は若手が採れない62.5%──候補者に見せる3か所

技能継承がうまくいっていない会社に理由を尋ねた調査で、1位に挙がったのは「教え方」でも「マニュアルがないこと」でもありませんでした。若年従業員を十分に確保できていないから、62.5%。技能を継ぐ相手が、そもそも社内にいないという答えです。

技能継承の記事は、たいてい見える化やデジタル化の話に着地します。ただ、継ぐ人がいない現場では、その道具は動きません。今日は入口のほう——採用の側から、候補者に見せられる3か所を一緒に見てみたいと思います。

KEY DATA / この記事の数字
技能継承を「重視している・やや重視している」製造業企業(n=4,342)
91.1%
技能継承が「うまくいっている・ややうまくいっている」企業(n=4,262)
33.3%
うまくいっていない理由の1位「若年従業員を十分に確保できていないから」(n=2,797・複数回答)
62.5%
将来の技能継承で不安なこと2位「若手が採用できない」(n=3,641・複数回答)
57.0%

出典:労働政策研究・研修機構「ものづくり産業における人材確保・定着と技能継承に関する調査」(2026年5月27日公表/調査実施2025年11月25日〜12月22日/従業員30人以上の製造業20,000社に郵送・有効回収4,342社)

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技能継承が進まない理由の1位は、教え方ではありません

技能継承がうまくいっていない製造業企業が挙げた理由の1位は、「若年従業員を十分に確保できていないから」で62.5%でした。労働政策研究・研修機構が2025年11月から12月にかけて実施した調査(回答4,342社のうち、うまくいっていないと答えたn=2,797・複数回答)の結果です。

2位は「時間的な余裕がないから」50.0%。ここまでが、人と時間という資源の話です。

よく語られる「教え方」の問題——指導者と受け手のコミュニケーション不足27.3%、受け手の意欲が低い26.9%、指導者を確保できていない26.2%——は、その下に並びます。

IMPACT MAP / 技能継承がうまくいっていない理由
若年従業員を十分に確保できていない62.5%
時間的な余裕がない50.0%
指導者と受け手のコミュニケーション不足27.3%
受け手の意欲が低い26.9%
指導者を確保できていない26.2%

出典:労働政策研究・研修機構(2026年5月27日公表・複数回答・n=2,797)

この順番は、問題の置き場所を変えてくれます。技能継承が進まないのは、現場の教え方が下手だからではなく、教える相手が採れていないから——個人の努力不足ではなく、入口の構造の話だ、ということです。

調査は2025年の年末に行われたものなので、人手不足の水準そのものは今と少し違うかもしれません。ただ「継ぐ人がいないと継承は始まらない」という順序のほうは、当分変わらない気がしています。

うまくいっているのは3社に1社。多くの現場は「時間を買う」手を選んでいます

技能継承が「うまくいっている」「ややうまくいっている」と答えた製造業企業は33.3%で、およそ3社に1社でした。技能継承を重視している企業は91.1%にのぼるので、大事だと思っているかどうかと、実際に進んでいるかどうかの間には、大きな開きがあります。

KEY METRIC / 技能継承がうまくいっている企業
33.3%
「うまくいっている」1.9%+「ややうまくいっている」31.4%。重視している企業に限っても、6割以上が「うまくいっていない」側に回答しています。

出典:労働政策研究・研修機構(2026年5月27日公表・n=4,262)

では、各社は何をしているのか。取り組みの1位は「再雇用や勤務延長などにより高年齢者従業員に継続して勤務してもらう」54.8%でした。2位の「継承すべき技能の見える化」31.2%を、20ポイント以上引き離しています。

ベテランに残ってもらうのは、間違いなく有効な一手です。経験のある人が現場にいる限り、技能は失われません。ただ、この手が買っているのは時間であって、継ぐ相手ではありません。

実際、将来の技能継承に不安があると答えた企業は85.4%。その中身は「熟練技能者の高齢化・退職が進んでいる」63.0%、「若手が採用できない」57.0%、「中堅従業員が不足している」51.9%と続きます。買った時間の終わりが、そのまま不安として見えている形です。

候補者に見せる3か所

継ぐ人を採るときに伝えたいのは、結局のところ「誰から、何を教わるのか」の一点です。ところがこれは、求人票の文字だけではいちばん伝わりにくい種類の情報でもあります。置き場所を3つに分けて考えてみます。

1
求人票——「作業」ではなく「継ぐ仕事」だと分かる一行を置く
仕事内容の欄が工程の説明で終わっていないか見てみます。「この技能を次に担う人を探しています」と一行入れるだけで、募集の意味が変わります。代替要員として呼ばれるのと、後継として呼ばれるのとでは、受け取り方がまったく違います。
2
採用サイト——教える人のページを1枚つくる
求人票は文字数が限られていて、媒体を切り替えると消えてしまいます。指導役になる人の顔写真と在籍年数、独り立ちまでの期間を1ページにまとめておけば、求人票からもスカウトからも、そこへ送れます。下のEXAMPLEに型を置きました。
3
現場の写真か短い動画——手元が映っているものを1本
技能は、文章にするほど平板になります。スマホで撮った30秒でも、作業している手元が映っていれば「これを覚えるのか」が一目で伝わります。撮る相手は、そのまま2の指導役の方です。編集も外注も、はじめのうちは要りません。
  EXAMPLE / 採用サイトに置く「教える人」の1ページ

写真1枚と、4つの項目だけのページです。求人票からリンクを張れば、文字数の制限からも媒体の乗り換えからも自由になります。

見出し:〈継ぐ技能〉を教えるのは、この人です
教える人:〈氏名または職名〉〈在籍年数〉(写真1枚)
教わること:〈覚える工程数〉〈期間〉かけて
本人の言葉:〈教える側として一言〉
記入例A(金属加工)
研削加工を教えるのは、この人です。/職長・勤続32年(作業中の手元の写真)/7つの工程を、約2年かけて。/「最初の半年は寸法が出なくて当たり前です。わたしもそうでした」
記入例B(電子部品の検査)
目視検査の判定基準を教えるのは、この2人です。/検査歴18年・12年(検査台の写真)/不良の見分け方を、約10か月かけて。/「いま判定基準を手順書に落としている最中なので、その作業から一緒に入ってもらいます」

記入例は書き方を示すための架空の文面です。

C
Coachers編集部
HRブランディングの観点から

技能継承は育成の話として語られることが多いのですが、この調査を読むかぎり、詰まっているのはもっと手前でした。継ぐ人が採れていない、というところです。それなら打ち手も、研修の設計より先に、社外への見せ方に来るはずです。

CANDIDATE VIEW | 求職者目線

御社の求人を見つけた20代の一人にとって、いちばん気になるのは「入社してからの数年が想像できるか」ではないかと思います。工程の説明と設備の写真だけでは、そこは想像できません。教える人の顔が見えているかどうかで、読み手が見ている景色はかなり変わります。

わたしたちが現場でよく聞くのは、「給与よりも、ちゃんと教えてもらえるのかが不安だった」という入社者の声です。裏を返せば、教える人の顔が見えている求人票は、それだけで安心材料になっているのかもしれません。

ここはHRブランディングの話でもあります。技能を持っている会社であることは、社外に置かなければ伝わりません。採用サイトの情報設計という視点で見ると、多くの製造業のページには設備と製品はあるのに、それを扱っている人がいない、という状態になりがちです。

わたしたちCoachersも、自社の採用でまったく同じことをやってしまいます。中にいると当たり前になっている強みほど、書き漏らすものだなと感じています。

ACTIONS / 今日からできる3つ
自社の採用ページに、教える人が写っているか見る
設備と製品の写真しか無い会社が大半です。調査で1位だった課題は若手の確保(62.5%)で、確保の入口は「誰から教わるか」が見えるかどうかにあります。
指導役の在籍年数を聞き、作業中の写真を1枚もらう
数字が1つ入ると、文章は感触から根拠に変わります。写真と年数の2点は、採用ページにも求人票にも面接にもそのまま使い回せます。
再雇用で残ってもらっている期間を、採用の期限として社内で共有する
取り組みの1位は再雇用・勤務延長(54.8%)でしたが、これは時間を買う手です。買った時間の残りが見えると、採用の優先順位も決めやすくなります。
FAQ / よくある質問
Q. 技能継承が進まない一番の理由は何ですか?
労働政策研究・研修機構の調査では、技能継承がうまくいっていない製造業企業が挙げた理由の1位は「若年従業員を十分に確保できていないから」で62.5%でした。2位は「時間的な余裕がないから」50.0%です。指導者と受け手のコミュニケーション不足(27.3%)などの教え方に関する理由は、その下に並びます。
Q. マニュアル化やデジタル化だけでは足りないのでしょうか?
見える化は有効で、実際に取り組みの2位(31.2%)に入っています。ただ、継ぐ人が社内にいなければ、手順書は使われないまま残ります。見える化と採用は、どちらかではなく順番の問題として考えるとよさそうです。
Q. 技能継承がうまくいっている会社はどのくらいありますか?
「うまくいっている」1.9%と「ややうまくいっている」31.4%をあわせて33.3%、およそ3社に1社です。技能継承を重視している企業は91.1%にのぼるので、重視度と実感には開きがあります。
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求人媒体50社の特徴・得意な職種・費用感を1枚で見比べられる資料です。自社サイトへリンクを張れるかどうかは媒体によって差があるので、「教える人のページ」へ候補者を送りたいときの置き場所選びにお使いください。
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中村 尚人

中村 尚人 取締役 / ディレクター

新卒で株式会社日立製作所に入社。2021年にCoachers立ち上げメンバーとして参画。採用関連のクリエイティブやマーケティングの戦略設計、ディレクションを担当。

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