面接官の64%が”研修なし”──面接を候補者に「選ばれる場」に変える4ステップ
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面接官の64%が”研修なし”──面接を候補者に「選ばれる場」に変える4ステップ

Branding, 2026.07.15 By 中村 尚人

「今日の面接官、誰にお願いしよう」——中途採用の現場で、けっこう当日ギリギリに決まっていたりしませんか。手が空いている人、その職種に近い人。そうやってお願いした面接官が、実は一度も面接のトレーニングを受けたことがない、というのは珍しくないかもしれません。

エン・ジャパンが2025年夏に実施した調査では、面接官経験のある人事担当者の64%が「面接官として研修を受けたことがない」と答えていました。多くの会社で、面接は”我流”で回っているのが実態のようです。

一方で候補者は、その面接官を通して会社そのものを見ています。面接は”見極める場”であると同時に、”選ばれる場”でもある。今日は、面接を魅力づけの一部として捉え直す視点を、一緒に考えてみたいと思います。

KEY DATA / この記事の数字
面接官として研修を受けたことがない人事担当者 64%
候補者の能力・適性を正確に見極めるのが難しいと感じる 84%
候補者の本音や意欲を引き出す質問が難しいと感じる 70%

出典:エン・ジャパン『人事のミカタ』「面接官」に関する実態調査(2025年7〜8月実施/面接官経験のある人事担当者179社)

面接官の64%が「研修を受けたことがない」という実態

まず、少し意外だった数字から。エン・ジャパン『人事のミカタ』が面接官経験のある人事担当者179社に聞いた調査(2025年7〜8月実施)で、「面接官として研修を受けたことがない」人が64%にのぼりました。3社のうち2社近くで、面接は個々人の経験と勘に委ねられている、と言い換えてもいいかもしれません。

KEY METRIC / 面接官の研修状況
64%
面接官として研修を受けたことがある人は36%にとどまりました。裏を返せば、面接の質は担当者の経験と勘に委ねられ、誰が出るかで候補者の受け取る印象が変わりやすい、ということです。

出典:エン・ジャパン『人事のミカタ』(2025年・n=179社)

この調査は2025年夏のものなので、いまはもう少し研修が広がっているかもしれません。ただ、「面接官の育成が後回しになりがち」という構造そのものは、そう大きくは変わっていない気がしています。求人広告や媒体選びには時間をかけても、”最後に候補者と向き合う人”の準備は手薄なまま、というのは、わたしたちCoachersも含めて多くの現場で心当たりがあるのではないでしょうか。

面接官は「見極め」だけでも、かなり苦戦している

研修がないまま、面接官が担う負荷は決して軽くありません。同じ調査では、候補者の能力・適性を正確に見極めるのが難しいと感じる人が84%、面接官として何らかの悩みを抱えている人が81%にのぼりました。「本音や意欲を引き出す質問が難しい」も70%。つまり”選ぶ”側の仕事だけでも、これだけの手応えのなさがあるということです。

見極めるだけでも8割以上が難しさを感じている。そこにさらに、「候補者に選ばれる」という役割まで、無自覚に重なっているのがいまの面接だと思います。この”選ばれる”側の視点は、候補者の椅子に座ってみると見えてきます(詳しくは後半の考察で)。

面接を「選ばれる場」に変える4ステップ

では、研修プログラムを一から組む余裕がなくても、明日からできることは何か。特別なスキルではなく、面接の”流れ”を少し設計し直すだけでも、候補者の受け取り方は変わります。準備・冒頭・深掘り・締めの4ステップで整理してみました。

1
面接前——面接官どうしで認識をそろえる
開始5分前でいいので、「今回はどんな人を、なぜ採りたいのか」を面接官どうしで一言そろえておきます。求人票を一緒に見て評価の軸をそろえるだけで、質問のズレや”詰問化”がぐっと減ります。
2
冒頭——まず会社側から自己開示する
いきなり深掘り質問に入る前に、事業の面白さやチームの雰囲気を、面接官自身の言葉で1〜2分話してみます。「まず自分たちを開く」姿勢が候補者の緊張をほどき、その後の会話の本音度が変わります。魅力づけは冒頭から始まっています。
3
深掘り——経歴を”理解しようとする”聞き方をする
粗探しの詰問ではなく、その経験に至った背景や工夫を尋ねます。「正しく理解しようとしてくれている」と感じてもらえるかどうかが、候補者の印象を大きく左右します。答えを評価する前に、まず相手の話をちゃんと受け取る——研修がなくても意識できることです。
4
締め——逆質問に”魅力づけ”で応える
「何か質問はありますか」で終わらせず、候補者の疑問に率直に、具体的に答えます。ここは会社を口説ける最後の場面。曖昧に流すと志望度は静かに下がり、正直に応えると一気に上がることもあります。分からないことは「持ち帰って必ず連絡します」で十分です。
C
Coachers編集部
HRブランディングの観点から

採用というと、どうしても「どう集めるか」「どう見極めるか」に意識が向きがちです。でも候補者の体験からたどると、求人広告 → 採用サイト → 面接、と続く一本の流れになっていて、面接はそのいちばん最後にある接点です。ここで印象が崩れると、それまでの魅力づけがまとめて台無しになってしまいます。まずは、その最後の接点を候補者の側から眺めてみます。

CANDIDATE VIEW | 候補者の椅子から

御社の求人に応募してくれた、ある一人の候補者を思い浮かべてみます。その人は複数社を並行して受けていて、面接の場では会社の情報をほとんど持っていません。だから、目の前の面接官の表情・言葉・聞き方が、ほぼそのまま「この会社で働くイメージ」になります。

わたしたちが現場で候補者の声を聞いていても、「面接官の方が誠実で”この人たちと働きたい”と第一志望に上がった」という話もあれば、「高圧的で、その日のうちに辞退を決めた」という話も本当によく出てきます。面接官は、採用サイトや求人原稿の続きにある”最後のコンテンツ”なのだと思います。

※統計ではなく、採用支援の現場で私たちが繰り返し耳にする候補者の声にもとづく描写です。

わたしたちが考えるHRブランディングは、「うちはこういう会社です」という一貫したメッセージを、あらゆる接点で同じ温度で届けることだと思っています。採用サイトで「風通しのよさ」を語っているなら、面接の場でも同じ空気が流れているか。求人原稿の言葉と面接官の振る舞いがちぐはぐだと、候補者は敏感に見抜きます。面接官の準備は、実は”ブランドの最終確認”でもあります。

とはいえ、面接官を一人ひとり研修するのは、忙しい現場ではなかなか大変ですよね。だからこそ、まずは「面接も魅力づけの一部」という前提を面接官どうしで共有するだけでも、十分に第一歩になると感じています。完璧を目指さず、できるところから整えていけたらと思います。

ACTIONS / 今日からできる3つ
面接前の「5分すり合わせ」を定例にする
「今回どんな人を、なぜ採りたいか」を面接官どうしで一言そろえてから候補者に会う。まずはこれだけを習慣にしてみます。
冒頭1分の「自己開示トーク」を用意する
事業の面白さやチームの雰囲気を面接官の言葉で話す型を、簡単なメモにしておく。冒頭から魅力づけを始めます。
逆質問への答えを、事前に棚卸ししておく
よく聞かれる質問(残業・評価・キャリア等)への率直な答えを面接官間でそろえる。答えられない項目は「持ち帰って連絡」と決めておきます。
FAQ / よくある質問
Q. 面接官トレーニングとは何をするものですか?
面接官トレーニングとは、候補者を見極める力と、候補者から選ばれる力(魅力づけ)の両方を高めるための準備です。評価軸のすり合わせ、質問の仕方、印象づくりなどが含まれます。研修という形でなくても、面接前の5分のすり合わせから始められます。
Q. なぜ中途採用で面接官の質が重要なのですか?
中途の候補者は複数社を並行して比較しており、面接官の対応がそのまま「会社の印象」になるためです。面接は企業が候補者を選ぶ場であると同時に、候補者が企業を選ぶ場でもあります。面接官の準備不足は、そのまま辞退や志望度の低下につながりやすいと考えられます。
Q. 研修の時間が取れません。まず何から始めればいいですか?
面接直前の5分のすり合わせから始めるのがおすすめです。「今回どんな人を、なぜ採りたいか」を面接官どうしで一言そろえるだけでも、質問のズレや印象の悪化を防げます。時間をかけた研修は、そのあとで少しずつ整えていけば十分です。
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5領域 × 25問で、採用の盲点を5分で可視化。中小企業の人事担当者向けに、設計/集客/サイト/選考/定着の5カテゴリでまとめた自己診断シートです。わかる質問はスキップOK。気軽にどうぞ。
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求人広告・採用サイトから面接までを一本の体験として設計するのが、わたしたちCoachersのHRブランディングです。面接体験の見直しも含め、採用の入口から一緒に整理してみませんか。
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中村 尚人

中村 尚人 取締役 / ディレクター

新卒で株式会社日立製作所に入社。2021年にCoachers立ち上げメンバーとして参画。採用関連のクリエイティブやマーケティングの戦略設計、ディレクションを担当。

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