出社回帰で半数が転職検討、20代は約7割──働き方の見せ方で選ばれる中途採用
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出社回帰で半数が転職検討、20代は約7割──働き方の見せ方で選ばれる中途採用

Branding, 2026.07.16 By 中村 尚人

「来月から、原則出社に戻します」。もし御社がそう決めたら、社員のうち何人が、静かに転職サイトを開くと思いますか。

ある調査では、勤務先が出社回帰に舵を切ったら「転職を検討する」と答えた人が半数を超えました。とくに20代では約7割。数字の高さより気になるのは、その多くが「辞めます」と口に出さず、水面下で動き始めることかもしれません。

出社かリモートか——正解を決める話ではありません。ただ、御社の「働き方」が求人の中でどう見えているかは、応募が集まるかどうかに、思っている以上に効いている気がしています。今日は、企業の出社回帰と候補者の本音のギャップを、一緒に見てみたいと思います。

KEY DATA / この記事の数字
勤務先が出社回帰したら「転職を検討する」と答えた人(全体) 51.8%
同・20代(若手ほど比率が高い) 68.5%
給与が同等か下がっても「リモート可の会社」を選ぶ(全体) 69.9%

出典:テレリモ総研(LASSIC)「出社回帰と転職に関する調査」2025年11月実施・n=1,009。テレワーク支援会社による調査のため、リモート志向がやや強めに出ている可能性は差し引いて読む前提です。

出社回帰で、社員の半数が”転職”を意識する

テレリモ総研(LASSIC)が2025年11月に実施した調査では、勤務先がリモートから出社中心へ方針転換したら「転職を検討する」と答えた人が全体で51.8%。年代で見ると20代68.5%・30代63.5%・40代65.5%と、働き盛りの層ほど高く、50代33.3%・60代30.9%と年齢が上がるほど落ち着きます。つまり「働き方が変わると動く」のは、まさに中途で採りたい中核・若手層に集中している、という読み方ができます。

きっかけとして挙がった理由の上位は、「趣味や副業など多様なライフスタイルの時間を確保したい」37.7%、「通勤時間を家族や自己研鑽に充てたい」35.6%、「満員電車のストレスから解放されたい」33.8%。給与そのものより、”時間の使い方”の話が並んでいるのが特徴です。ここは半年ほど前のデータなので、足元では出社に慣れて落ち着いた人もいるでしょう。ただ「働く場所の柔軟さを、生活の質と結びつけて考える」感覚自体は、当面は続く普遍的な変化のように感じています。

一方で、企業側が出社に戻すのにも相応の理由があります。偶発的な雑談から生まれる連携、若手のオンボーディング、チームの一体感——対面でしか出しにくい価値は確かにあり、大手を含めて出社回帰の動きが広がっているのも事実です。だからこの話は「出社が悪い/リモートが正義」ではありません。企業の合理と、候補者の生活実感が、静かにすれ違っているという構図の問題です。

COMPARISON / すれ違う二つの本音
企業の現実
「まず出社に戻そう」
連携・育成・一体感など、対面の価値を取り戻したい。方針として原則出社へ——その判断自体には合理性がある。
候補者の本音
「働き方で会社を選ぶ」
通勤や生活の時間は譲りたくない。合わないと感じたら、不満を口にせず選択肢を探し始める。とくに若手ほどこの傾向が強い。

若手は”給与より働き方”すら選ぶことがある

同じ調査で驚いたのが、給与への向き合い方です。「給与が同等か、多少下がっても、リモート可の会社を選ぶ」と答えた人は全体で69.9%。そして20代では、その割合が跳ね上がります。

KEY METRIC / 20代の”働き方”優先度
79%
20代の79.3%が「給与が同等か下がっても、リモート可の会社を選ぶ」と回答。若手にとって働き方は、もはや”福利厚生のおまけ”ではなく、会社選びの軸そのものになりつつあります。

出典:テレリモ総研(LASSIC)2025年11月・n=1,009

もちろん、これはリモート支援会社の調査なので、リモート志向が強めに出ている点は割り引く必要があります。それでも、「働き方が会社選びの上位に来る若手が確実にいる」という方向感まで疑う必要はなさそうです。ここで大事なのは、御社が全面リモートに舵を切ることではありません。候補者が求人を見た瞬間、御社の働き方を”どう受け取るか”——その一点です。

たとえば「リモート応相談」「状況に応じて」とだけ書かれた求人は、書き手の意図に関わらず、候補者には「実質フル出社なのだろう」と最悪の側で解釈されがちです。候補者からどう見えているかは、次の考察で一緒に覗いてみます。

C
Coachers編集部
HRブランディングの観点から

出社回帰そのものは、経営の判断として尊重されるべきものだと思います。わたしたちCoachersも、対面だから生まれるものの大きさは日々感じています。ただ、採用の場面で損をしやすいのは「方針を決めたのに、その”見せ方”が置き去りになる」ときです。同じ週3出社でも、伝え方ひとつで印象は大きく変わります。

CANDIDATE VIEW | 候補者の椅子から

求人票の勤務条件欄に「リモート応相談」とだけある。候補者はここで、良い方には解釈しません。「たぶん建前で、実際はほぼ毎日出社だろう」と最悪の側に寄せて読み、応募ボタンの手を止める——そんな”静かな離脱”が、面接に呼ぶ前の段階で起きています。

逆に「週2出社・在宅3日、コアタイムは11〜15時、月1回は全員出社日」のように具体的に書かれていると、たとえ出社が多めでも「ちゃんと運用されている会社だ」と安心材料になります。候補者が知りたいのは”リモートか否か”より、”実際の一週間がどうなるか”なのだと感じます。

※統計ではなく、採用支援の現場で候補者・求人票に接してきた実感にもとづく描写です(数字はテレリモ総研調査を参照)。

これはHRブランディングの視点そのものです。働き方は、制度である前に「この会社は社員の生活をどう考えているか」というメッセージとして受け取られます。求人原稿の勤務条件を一段具体的にするだけでも、出社方針を変えずに”選ばれやすさ”を上げられる余地は大きいはずです。

大切なのは、背伸びして「フルリモートOK」と書くことではありません。実態を正直に、でも一番わかりやすい言葉で見せること。合わない人が離れるのは、むしろ入社後のミスマッチを減らします。正直さは、この領域では最強の魅力づけになると考えています。

ACTIONS / 今日からできる3つ
勤務条件を”一週間”で書く
「リモート応相談」をやめ、週の出社日数・在宅日数・コアタイム・全員出社日の有無まで具体的に。候補者は”実際の一週間”で判断します。
出社の”理由”を一言添える
「連携を大切にしたいので週3出社です」と背景を書くと、同じ条件でも納得感が変わります。方針を隠さず、意図ごと伝えるのがコツです。
面談で「働き方の相性」を先に確認する
選考の早い段階で働き方の希望をすり合わせておくと、入社後のギャップを防げます。合わない人が早めに抜けるのも、健全なマッチングです。
FAQ / よくある質問
Q. リモートにしないと、もう中途では採れないのでしょうか?
そうとは限りません。調査でも出社回帰で転職を検討するのは全体の半数で、裏を返せば半数は出社中心でも許容しています。鍵は働き方を具体的に、正直に見せること。全面リモート化より、実態が明確に伝わることのほうが効きます。
Q. 出社方針は変えたくありません。それでも工夫できることは?
方針を変える必要はありません。出社の日数と理由を求人票に具体的に書く、面談で率直に伝える——それだけで「隠していない会社」という信頼が生まれ、条件が合う人が集まりやすくなります。
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REFERENCES
  • テレリモ総研(株式会社LASSIC)「『会社が出社回帰したら転職を考える』20〜40代で6割超えの衝撃」(2025年11月27〜28日実施・n=1,009) https://lassic.co.jp/teleremo/
中村 尚人

中村 尚人 取締役 / ディレクター

新卒で株式会社日立製作所に入社。2021年にCoachers立ち上げメンバーとして参画。採用関連のクリエイティブやマーケティングの戦略設計、ディレクションを担当。

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