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有効求人倍率1.18倍、求職者1人に新規求人2.16件──2026年6月の中途採用
1.18倍。7月31日に厚生労働省が公表した、2026年6月の有効求人倍率です。前月から0.01ポイントの上昇。正直なところ、この数字だけを見て採用の手応えが変わることは、あまりないかもしれません。
ただ、同じ発表の中に、しばらく見なかった符号が一つありました。新規求人が前年同月比プラス。4月は3.6%減、5月は8.9%減と前年割れが続いていたので、6月の3.1%増はそれなりの反転です。求人が増えるということは、候補者の画面に並ぶ求人が増えるということでもあります。
市場全体の数字を眺めても、明日の採用がすぐ変わるわけではありません。それでも「何が増えたのか」を一度だけ見ておくと、8月の打ち手の順番は少し変わる気がしています。今日は有効求人倍率の一つ手前にある数字を、一緒に見てみたいと思います。
出典:厚生労働省「一般職業紹介状況(令和8年6月分・5月分)」(2026年7月31日公表ほか)
6月の求人統計で、何が変わったのでしょうか
変わったのは倍率の水準ではなく、新規求人の向きでした。有効求人倍率は1.17倍から1.18倍へ、動いた幅は0.01ポイントです。一方で、新しく出てくる求人の量を示す新規求人(原数値)は、4月が前年同月比3.6%減、5月が8.9%減と前年割れが続いたあと、6月は3.1%増に転じました。
有効求人倍率は1.18倍。新規求人は前年割れが続いていた。
減り幅が拡大。有効求人倍率も1.17倍へ0.01ポイント低下した。
プラスへ反転。新規求人倍率も2.11倍から2.16倍へ上がった。
出典:厚生労働省「一般職業紹介状況」令和8年4月分・5月分・6月分
1カ月だけの数字で流れが変わったと言い切るのは早いと思います。ただ、減っていたものが増えたという事実は、採用の現場から見ると「ライバルの求人が増えはじめたかもしれない」という話につながります。正社員有効求人倍率も1.00倍と、前月から0.01ポイント上がりました。
1.18倍より、2.16倍のほうを見てみませんか
新規求人倍率とは、その月に新しく受け付けた求人の数を、その月に新しく職探しを始めた人の数で割った数字です。 6月は2.16倍でした。対して有効求人倍率は、前の月から持ち越された求人・求職も含めて計算します。前者はその月に生まれた「流れ」を、後者は積み上がった「在庫込み」の状態を見ている、と整理すると分かりやすいかもしれません。
この違いは、そのまま「どちらが早く動くか」の違いになります。持ち越し分を含む有効求人倍率は動きがゆるやかで、6月の変化も0.01ポイント。一方の新規求人倍率は2.11倍から2.16倍へと動きました。市場の温度が変わるとき、先に符号が変わるのは新しく出た求人のほうです。だから新規求人倍率は先行指標として扱われることが多いのだと思います。
採用担当者にとって大事なのは、この数字が「候補者から見た選択肢の数」に近いことです。その意味するところは、後半の考察で候補者の側から見てみたいと思います。
同じ「求人が増えた」でも、業種で真逆のことが起きています
全体は3.1%増ですが、内訳はきれいに割れています。増えた側と減った側で、前年同月比の符号が逆を向いている状態です。自社が人材を取り合っている業種がどちらにあるかで、8月の意味は変わってきます。
製造業 +10.4%
宿泊業,飲食サービス業 +5.4%
卸売業,小売業 -2.6%
教育,学習支援業 -2.2%
出典:厚生労働省「一般職業紹介状況(令和8年6月分)」新規求人(原数値)前年同月比
増えている側にいるなら、候補者は同じ職種の求人をこれまでより多く見比べることになります。ここで効くのは条件そのものより、見比べたときに違いが分かる情報があるかどうかです。減っている側にいるなら、候補者の動き自体がまだ鈍い可能性があります。待って集めるより、こちらから届ける比重を上げる時期かもしれません。
なお、ここで見ているのはハローワークに出された求人の統計です。中途採用の主戦場が転職サイトやスカウトである会社にとっては、そのまま自社の応募数につながる数字ではありません。それでも毎月早いタイミングで、業種別・地域別まで無料で公表される点で、市場の温度を測る道具としては使いやすいと感じています。
市場統計を追いかけても、明日の応募は増えません。それでもこの数字を紹介したかったのは、「求人が増える」という出来事が、企業側と候補者側でまったく違う景色に見えるからです。企業から見れば競争の激化ですが、候補者から見れば、選べる幅が広がったという純粋な朗報です。
新規求人倍率2.16倍を、候補者一人の側から言い直してみます。その月に職探しを始めた1人の前に、新しく出た求人が2件以上並んでいる——それが6月の状態でした。御社の求人票は、その並びの中の一枚として開かれます。
現場でよく聞くのは「条件はどこも似ていて、決め手がなかった」という振り返りです。並びが増えるほど、候補者は違いを探すのに疲れていくのかもしれません。逆に言えば、他社が書いていないことが一行あるだけで、その一枚は記憶に残る側に回れる可能性があります。
わたしたちがHRブランディングと呼んでいるのは、そういう「見比べられたときに残るもの」を意図してつくることです。求人広告の原稿でいえば、給与や休日の欄をきれいに整えることではなく、その隣に置く一行——どんな場面で人が必要になったのか、入ってすぐ何を任せたいのか——を具体的に書けているかどうか、という話に近いと感じています。
わたしたちCoachers自身も採用をしている会社なので、市場が動くたびに条件表を見直したくなる気持ちはよく分かります。ただ、条件で並ぶのはどうしても体力勝負になりがちです。倍率が上がる月ほど、条件以外のところを一行足しておく。地味ですが、それが一番長く効く準備だと思っています。
- 厚生労働省「一般職業紹介状況(令和8年6月分)について」(2026年7月31日公表) https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_74767.html
- 厚生労働省「一般職業紹介状況(令和8年5月分)について」 https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_74004.html
- 厚生労働省「一般職業紹介状況(令和8年4月分)について」 https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_73416.html
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