求人広告・媒体RECRUITING JOURNAL

求人広告代理店の選び方──比べる5つの点と、見積もり前に渡す依頼メモ1枚

求人広告代理店の選び方──比べる5つの点と、見積もり前に渡す依頼メモ1枚

2025年に掲載された求人広告は、全国求人情報協会の集計で2,877万件でした。その中から自社の求人を見つけてもらうために、媒体選びと原稿づくりを求人広告代理店に相談する、という選択肢があります。

ところが代理店を比べようとすると、提案も見積もりも各社ばらばらで、決め手が見えなくなりがちです。比べにくさの理由の一つは、依頼する側が各社に違う条件を伝えていることにあります。

この記事では、求人広告代理店とは何か、直販との違い、選ぶときに比べる5つの点を順に整理します。見積もりの前に各社へ同じ内容で渡す、依頼メモの記入例も1つ置きました。

求人広告代理店とは?直販と何が違うのか?

求人広告代理店とは、求人媒体の運営会社と販売の契約を結び、企業に代わって掲載の手続き・原稿づくり・掲載後の運用を引き受ける会社です。

媒体の運営会社から直接買う「直販」との違いは、扱える媒体の範囲と、原稿を誰がどう作るかの2つにあります。

直販では、その媒体の営業担当が窓口になります。媒体のことは誰よりも詳しい一方で、他社の媒体を勧める立場にはありません。

代理店は複数の媒体を扱うことが多く、職種や地域に合わせて媒体を選び直せます。ただし、扱う媒体の数や得意な分野は、代理店ごとに大きく違います。

全国求人情報協会が2025年に行った市場規模調査では、調査の対象になった求人情報提供事業者だけで1,026社ありました。その中からどの媒体を使うかを、自社だけで比べきるのは簡単ではありません。

同じ協会の集計では、2025年4〜12月の求人広告は前年比4.6%減でしたが、建設・採掘は28.3%増えています。職種によっては、競う求人がむしろ増えています。

求人広告代理店に頼むのは、どんな会社に向いているのか?

求人広告代理店が向いているのは、採用を兼任で担当していて、媒体の比較や原稿づくりに時間を割けない会社です。

反対に、使う媒体が決まっていて原稿も社内で書ける会社なら、直販で困ることは少ないはずです。

代理店に任せられるのは、主に媒体の選定・原稿の作成・掲載の手続き・掲載後の数字の報告です。面接は自社で行います。応募者との連絡は、契約によって代理店に任せられることもあります。

見落としやすいのは、代理店に任せるほど、社内で先に決めておくことは増えるという点です。誰を・いつまでに・いくらで採るかが曖昧なまま頼むと、提案の前提を代理店側が推測で埋めることになります。

求人広告代理店の選び方──何を比べればいいのか?

求人広告代理店を選ぶときは、扱う媒体の数、原稿を書く人、見積もりの内訳、媒体をまたいだ報告、担当と乗り換えの扱いの5つを、各社に同じ質問で確かめます。

料金の総額だけで比べると、何にいくら払っているのかが見えなくなります。媒体そのものに聞くことは、求人媒体の選び方の記事で整理しています。

  1. 扱う媒体の数と、得意な職種・地域
    1つの媒体だけを扱う代理店では、その媒体の中での提案が中心になります。媒体そのものを選び直したいなら、複数の媒体を扱っているかを最初に聞きます。
  2. 原稿を誰が、どう書くか
    営業担当がヒアリングシートから書くのか、制作の担当者が現場を取材して書くのかで、原稿の具体さは変わります。同じ職種で過去に書いた原稿を見せてもらえるかも聞いておきます。
  3. 見積もりの内訳
    掲載料・原稿の制作費・掲載中の運用費を分けて出してもらいます。分かれていないと、別の代理店の見積もりと並べたときに、どこで差が出ているのか分かりません。
  4. 媒体をまたいで、同じ物差しで報告できるか
    複数の媒体に出すなら、応募数や採用までの数字を媒体ごとに同じ形で並べてもらえるかを聞きます。物差しがそろわないと、どの媒体を続けるかを決められません。
  5. 窓口の担当と、乗り換えるときの扱い
    営業と制作の担当がそれぞれ誰か、担当が替わるときの引き継ぎ、別の媒体に移るときに原稿を使い回せるかを聞きます。ここが曖昧だと、媒体を替えるたびに一から説明し直すことになります。

この5つは、各社に同じ依頼メモを渡してから聞くと、答えを横に並べて比べられます。メモに書くのは、代理店が提案の前提にする情報です。

例:代理店に渡す依頼メモ(中途採用・1枚)

① 募集する職種と人数:建築の施工管理を1名。2026年2月までに入社してほしい

② 採用にかけられる上限:掲載と原稿制作をあわせて、3か月で80万円まで

③ これまでの募集の結果:ハローワークと自社サイトで4か月募集し、応募2件・面接1件・採用0名

④ 原稿に必ず入れたい事実:自社施工の現場が7割。残業は月平均18時間(2025年度の実績)

⑤ 返してほしいもの:媒体の候補2つ以上と、それぞれの掲載料・制作費・運用費の内訳、掲載後の報告の頻度

架空の会社の記入例です。同じメモを2〜3社に渡すと、提案と見積もりを同じ条件で並べられます。

代理店が書いた求人原稿は、誰が確かめるのか?

代理店が書いた原稿でも、掲載前に中身を確かめるのは求人を出す会社です。

2022年10月施行の改正職業安定法で、虚偽や誤解を生む表示をせず、求人情報を正確・最新に保つ「的確表示」が、求人メディアだけでなく求人企業にも義務づけられました。

原稿は代理店に任せきりにせず、校了の前に自社で事実を確かめる手順を1つ決めておきます。見るのは次の4つです。

  • 給与・残業時間・休日の数字が、雇用契約や就業規則と合っている
  • 「未経験歓迎」「転勤なし」などの言い切りが、実際の配属と合っている
  • 写真や社員の声が、いまの職場のものになっている
  • 募集を締め切ったときに、掲載を止める連絡先が決まっている
Coachers編集部の考察

代理店選びがうまくいかないとき、原因は代理店の良し悪しより、依頼の前提が社内で決まっていないことにあります。わたしたちは採用の相談を受ける中で、そう感じる場面が少なくありません。

求人広告は、候補者体験の最初の段です。原稿で伝えた事実が、面接や内定時の説明でそのまま確かめられるほど、応募は入社につながりやすくなります。

代理店が受け持つのは入口の段です。その先の面接や内定は自社が引き継ぐ前提で、原稿を作ってもらう必要があります。

求職者目線

御社の求人を開いた候補者には、その原稿を書いたのが代理店なのか社内なのかは見えません。原稿の一文一文は「この会社が言っていること」として読まれるはずです。

だからこそ、代理店が書いた言葉を、面接で自社の人が同じように話せるかどうかで確かめておきたいところです。

代理店は、媒体と原稿の専門家です。誰を採るかを決めるのは自社で、そこを1枚にして渡すほど、代理店の力は引き出しやすくなります。

今日からできる3つ

  1. 依頼メモを1枚書く
    職種と人数、上限の費用、これまでの結果、入れたい事実、返してほしいものの5つを書きます。前提が文字になっていれば、代理店は推測で埋めずに提案できます。
  2. 2〜3社に同じメモを渡して見積もりを取る
    同じ条件で出た見積もりなら、掲載料・制作費・運用費のどこで差が出ているかが分かります。1社だけでは、高いか安いかを判断する基準がありません。
  3. 校了前に確かめる人を社内で1人決める
    給与や残業時間など、数字の欄を確かめる人を決めます。的確表示の義務は求人企業にもあるため、確認の役目は代理店に預けきれません。

よくある質問

Q. 求人広告代理店に頼むと、直販より費用は高くなりますか?

一概には言えません。差が出やすいのは原稿の制作費や掲載中の運用費の扱いで、代理店ごとに違います。見積もりを掲載料・制作費・運用費に分けて出してもらうと、直販とも比べられます。

Q. 代理店は何社に相談すればいいですか?

2〜3社が目安です。同じ依頼メモを渡すと、提案を並べて比べられます。社数を増やしすぎると、比べる手間のほうが大きくなります。

Q. 代理店に、面接の日程調整まで任せられますか?

契約によって違います。応募者との連絡や日程調整は範囲外のこともあるため、依頼メモを渡す段階で、どこまで任せられるかを聞いておきます。

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出典

公益社団法人全国求人情報協会「求人情報提供サービス市場規模調査結果」「2025年の求人広告件数の動き(求人広告掲載件数等集計結果)」2026年2月13日・市場規模調査は2025年7〜10月、求人情報提供事業者1,026社が対象(有効回答108) zenkyukyo.or.jp

厚生労働省「令和4年職業安定法の改正の概要について」令和4年9月作成 mhlw.go.jp

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