求人媒体を選ぶとき、多くの会社は料金表と掲載実績を見比べます。けれど、実際に人がどの経路で入社しているかを国の統計で見ると、広告(求人サイトや求人誌など)経由は32.3%。3人に1人です。
残りの3分の2は、友人・知人などの縁故(17.0%)、ハローワーク(15.3%)、人材紹介会社などの民営職業紹介所(7.7%)といった、広告以外の経路から入っています。求人広告はいちばん大きな入口ですが、入口の1つでもあります。
この記事では、厚生労働省の雇用動向調査(2025年分・2026年8月公表)の入職経路をもとに、求人媒体の選び方を整理します。媒体の型ごとの向き不向きと、契約前に営業担当へ聞く5つの質問を、記入例つきでまとめました。
求人媒体は、どう選べばいいのか?
求人媒体は、料金や知名度より先に「採りたい人が、どの経路で仕事を探しているか」で選びます。入社した人の経路を見ると、求人媒体などの広告経由は全体の3分の1ほどだからです。
厚生労働省の雇用動向調査によると、2025年に入職した約753万人のうち、広告を経路にした人は32.3%でした。調査票の「広告」には、求人情報誌やインターネットの求人も含まれます。
2番目は友人・知人などの縁故で17.0%、3番目はハローワークで15.3%(窓口12.2%とインターネットサービス3.1%の合計)です。

新卒やパートタイムで入った人も含む、入職者全体の数字です。経路は入職者本人の回答で、四捨五入のため合計は100%になりません。縁故17.0%は、第7表の縁故21.4%から「うち前の会社」4.4%を除いた値です。
この数字から言えるのは、「どの媒体がいちばんか」より先に、「広告だけを見ていると、3分の2の入口を見ていない」ということです。前年(2024年)の同じ表でも、広告は33.1%で1位でした。
わたしたちの実感では、効く入口は職種や地域でかなり違います。だから比較表を開く前に、採りたい一人がどの入口に立っていそうかを決めておくと、選ぶ基準がぶれません。
媒体の型ごとに、向いている採用は何か?
求人の出し先は、求人サイト・求人検索エンジン・スカウト型・人材紹介・ハローワークの5つの型に分けると、それぞれ向いている採用が見えてきます。
費用のかかり方(掲載課金・クリック課金・成功報酬など)は、求人広告の4つの課金形態の記事で整理しています。ここでは「どんな採用に向くか」だけを並べます。
- 求人サイト:転職を考えて自分から探している人に、まとまった数で届けたいとき。職種や地域ごとに強い媒体が分かれます。
- 求人検索エンジン:自社の求人を、仕事を探す人の検索から見つけてもらいたいとき。無料で載せられるものもあります。
- スカウト型:経験者や管理職など、いま積極的には探していない人に会社から声をかけたいとき。文面と送る手間が成果を左右します。
- 人材紹介:1名を優先して採りたいとき、要件のすり合わせまで任せたいとき。採用が決まった時点で費用が発生する形が一般的です。
- ハローワーク:地元の人を、費用をかけずに募集したいとき。入職者の15.3%はここから入っています。
もう1つ、比較表には出てこない入口があります。2番目に大きい縁故(17.0%)です。社員の知り合いに声をかけてもらう仕組みは、リファラル採用として設計できます。
媒体費のかからない入口ですが、社員が「知り合いに勧めたい会社か」がそのまま問われます。媒体を足す前に、この入口が開いているかを確かめておく価値があります。
求人媒体の契約前に、営業担当へ何を聞けばいいのか?
求人媒体の契約前に営業担当へ聞くのは、「自社と同じ職種・地域での実績」と「掲載中・掲載後に何ができるか」を確かめる5つの質問です。答えを媒体ごとに同じ形で並べると、料金以外の差が見えてきます。
- 同じ職種・同じ地域で、応募数の目安はどのくらいか
媒体全体の会員数より、自社に近い条件での実績のほうが判断材料になります。媒体全体の数字しか返ってこないなら、その条件での強さはまだ分からないと考えます。 - 応募してくるのは、どんな年代・経験の人が多いか
採りたい一人と、その媒体に集まる人が重なっているかを確かめます。重なっていないと、応募は来ても面接に進む人が増えません。 - 掲載中に原稿を直せるか、何回までか
反応が鈍いときの打ち手は、原稿の書き直しです。直せない契約だと、残りの掲載期間をそのまま待つことになります。 - 掲載後に、どの数字を見られるか
閲覧数・応募数・応募者の属性など、管理画面で見られる範囲を聞きます。見えない数字は、次の掲載で比べることができません。 - 応募が来なかったとき、何をしてもらえるか
原稿の改善提案、掲載の延長、プランの切り替えなど。ここに具体的な答えが返ってくるかで、掲載後の付き合い方が見えます。
① 同職種・同地域の応募数の目安:「県内の施工管理なら、4週間の掲載で応募5〜8件が多いです」
② 応募者の年代・経験:「30〜40代の経験者が中心で、20代は少なめです」
③ 原稿の修正:「掲載中2回まで、無料で直せます」
④ 見られる数字:「閲覧数・応募数・応募者の年齢と経験年数」
⑤ 応募が来なかったとき:「2週目に原稿の見直しを提案します。延長は有料です」
判断:採りたいのは28歳の施工管理経験者なので、②が合わない。この媒体は第2候補にして、ほかの媒体にも同じ5つを聞いてから決める。
架空の会社と架空の回答による記入例です。実在の媒体の数字ではありません。
媒体選びで迷うと、比較表の行を増やしたくなります。けれど比べる行を増やす前に、媒体がどの段で効くのかを決めておくほうが近道です。
求人媒体が担うのは、求人を知る→求人票を読む→応募する→面談で確かめる→内定を受ける→入社する、という候補者体験の最初の段です。媒体選びが効くのは、届けた先の求人票と面談が、同じ一人に向いているときです。
求人サイトで御社の求人を見つけた候補者は、同じ画面で似た条件の他社の求人も並べて見ているかもしれません。媒体を変えても、その一覧のなかで選ぶ理由が求人票に書かれていなければ、入口が変わっただけになります。
わたしたちが現場で見てきた候補者は、応募の前に会社名で検索し、採用ページまで確かめていることが少なくありません。媒体はきっかけで、決め手はその先に置いてあるものです。
媒体選びの相談の多くは、実は「誰を採るか」がまだ1行で書けていない、という相談でもあります。その1行が決まると、聞くべき質問も、比べる軸も決まります。
今日からできる3つ
- 採りたい一人が、いまどの入口に立っているかを書く
求人サイトで探しているのか、知人に相談しているのか、ハローワークに通っているのか。入職経路は広告32.3%・縁故17.0%・ハローワーク15.3%と分かれており、入口が決まらないと媒体を比べる軸も決まらないからです。 - 候補の媒体すべてに、同じ5つの質問を送る
答えを1枚の表に並べると、料金以外の差(自社に近い条件での実績、原稿の直しやすさ)が横に並びます。営業担当ごとに違う資料を見比べるより、比べる軸がそろいます。 - 社員に「知り合いに勧められるか」を1つだけ聞く
縁故は入職経路の2番目(17.0%)で、媒体費のかからない入口です。勧められないと答えた理由は、そのまま求人票や面談で直す場所の候補になります。
よくある質問
Q. 求人検索エンジンとは何ですか?
求人検索エンジンとは、インターネット上の求人情報を集めて、仕事を探す人がキーワードや地域で検索できるようにしたサービスです。Indeedや求人ボックスなどがあり、無料で求人を載せられるものもあります。
Q. 無料で使える求人媒体はありますか?
ハローワークは無料で求人を出せます。厚生労働省の雇用動向調査では、2025年の入職者の15.3%がハローワーク経由でした。地元の人を採りたい場合は、有料の媒体と並べて検討する価値があります。
Q. 求人媒体の効果は、どう判断すればいいですか?
閲覧数と応募数を分けて見ます。閲覧が少なければ媒体や掲載プランの問題、閲覧はあるのに応募が少なければ原稿の問題、と分けると次の手が決まります。そのためにも、契約前に「掲載後にどの数字を見られるか」を聞いておきます。
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出典
厚生労働省「雇用動向調査」年次別推移 第7表 入職経路別入職者数(2025年分・2026年8月31日公表・入職者計 7,526.8千人) e-stat.go.jp
厚生労働省「令和7年雇用動向調査結果の概要」2026年8月31日公表 mhlw.go.jp
厚生労働省「雇用動向調査 入職者票」(令和7年・入職経路の区分) mhlw.go.jp



