選考辞退の6割は「面接前」に起きる──中途採用の歩留まりを守る連絡設計
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選考辞退の6割は「面接前」に起きる──中途採用の歩留まりを守る連絡設計

Branding, 2026.07.09 By 中村 尚人

せっかく書類を通過してもらったのに、面接の日、その人は来なかった——。中途採用の現場で、こんな経験はありませんか。

エン・ジャパンが2024年6〜7月に実施した「中途採用の選考辞退」実態調査(293社)では、辞退の起きるタイミングで最も多かったのは「書類選考通過後・面接前」で60%。候補者は、わたしたちと会う前に静かに離れていました。

調査から少し時間が経っていますが、他社と競う速さや候補者体験の重みは、いま一層強まっている気がします。「辞退は仕方ない」で片づける前に、どこで・なぜ離れるのかを、求職者目線で一緒に見てみませんか。

エン・ジャパンの2024年調査では、中途採用の選考辞退で最も多いタイミングは「書類選考通過後・面接前」で60%を占めた。

直近1年で選考辞退を経験した企業は85%、辞退が「増えた」と感じる企業は45%(従業員1,000名以上では56%)にのぼった。

有効な対策の1位は「通過者への連絡を早くする」85%——歩留まりは、応対のスピードと候補者体験で動かせる余地がある。

候補者は「会う前」に離れている

選考辞退とは、内定より前の段階で、候補者が選考から降りることを指します。内定辞退が「最後の意思決定」だとすれば、選考辞退はもっと手前、まだお互いをよく知らないうちに起きます。だからこそ見えにくく、対策も後回しになりがちかもしれません。

エン・ジャパンの調査で、辞退が起きるタイミングを尋ねたところ、最も多かったのは「書類選考通過後・面接前」で60%でした。面接前日・当日の「ドタキャン辞退」も52%あり、そのうち83%は「連絡がないまま(すっぽかし)」だったといいます(2018年の同社調査比で10ポイント増)。

KEY METRIC
60%
面接前の辞退

辞退の最多タイミングは「面接前」
書類選考を通過してもらった後、実際に会うまでの”空白の時間”で、6割の辞退が起きています。面接での見極め以前に、その前段で候補者が離れている——という現実がうかがえます。

辞退の理由として最も多く挙がったのは「他社の選考通過・内定取得」で78%でした。つまり、候補者はわたしたちを嫌ったというより、先に他社が動いたケースが大半だということです。相手の質の問題ではなく、こちらの「間(ま)」の問題——そう捉え直すと、打ち手が見えてきます。

歩留まりは「スピードと応対」で動かせる

では、辞退を減らせた企業は何をしていたのでしょうか。同調査で「効果があった」とされた対策の上位は、特別な仕組みではなく、連絡の速さと、選びやすさへの配慮でした。派手さはないけれど、候補者体験の土台になる部分です。

IMPACT MAP
書類選考後、通過者への連絡を早くする85%
面接日程を複数提示する76%
応募者へのお礼メールを送る60%
※エン・ジャパン「人事のミカタ」調査(2024年6〜7月・293社)で「有効だった」とされた選考辞退対策の上位。

辞退の6割が「面接前」、理由の8割近くが「他社が先に決まった」だとすれば、勝負を分けるのは応募をもらってから面接までの数日です。ここが遅れるほど、候補者の気持ちは他社に流れていきます。「連絡を早く」「日程を複数」は、裏を返せば候補者の時間を大切にしているというメッセージでもあります。

同時に、そもそもの「入口の質」も効いてきます。求人原稿や採用サイトで働く実態が具体的に伝わっているか。応募の時点で「ここは自分に合いそう」と思えているほど、他社と迷ったときに残ってもらいやすくなります。速さで追いつくだけでなく、最初から選ばれる状態をつくっておくことも、辞退対策の一部だと感じています。

選考辞退についてよくある疑問

FAQ
Q
選考辞退はどのタイミングで最も多いですか?

A
エン・ジャパンの2024年調査では、「書類選考通過後・面接前」が60%で最多でした。面接での見極め以前に、会う前に離れているケースが多いのが特徴です。

Q
辞退される主な理由は何ですか?

A
同調査で最も多かった理由は「他社の選考通過・内定取得」で78%。自社が敬遠されたというより、他社が先に動いた結果であることが多く、選考スピードが鍵になります。

Q
今日から始められる辞退対策はありますか?

A
効果があったとされる対策の上位は「通過者への連絡を早くする(85%)」「面接日程を複数提示する(76%)」など。ツールがなくても、連絡の速さと選びやすさから始められます。

C
Coachers編集部
HRブランディングの観点から

今回の数字は1社の調査で、しかも2024年のもの。それでも「面接前に、他社が先に動いて離れていく」という構造は、いまの採用現場の実感にも近い気がしています。わたしたちCoachers自身も、返信が一日遅れただけで空気が変わる場面を何度も見てきました。

辞退を「候補者の心変わり」と受け止めると打ち手がなくなりますが、「まだ気持ちが固まりきる前の、揺れている時間」と捉えると、こちらにできることが見えてきます。連絡の速さ、日程の選びやすさ、そして応募時点での納得感——どれも、候補者への向き合い方そのものです。

これはHRブランディングの話でもあると感じています。求人原稿の段階で「働く実態」がきちんと伝わっていれば、応募者は迷ったときに自社を思い出しやすくなります。速さで追いかけるだけでなく、最初から選ばれる状態をつくっておく。その両輪で、歩留まりは少しずつ変えていけるのかもしれません。

ACTIONS
「書類通過→連絡」までの日数を測ってみる
直近の候補者で、通過連絡まで何日かかっていたかを振り返ってみませんか。まずは現状を数字で見るところからでも十分です。

面接日程は「複数・早め」で打診する
1つの日時だけで調整するより、複数の候補を先に渡すほうが、候補者は選びやすく、離れにくくなります。

求人原稿で「働く実態」が伝わっているか見直す
応募時点の納得感が、迷ったときに残ってもらえるかを左右します。仕事の一日や配属後の様子など、具体を一つ足してみませんか。

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中村 尚人

中村 尚人 取締役 / ディレクター

新卒で株式会社日立製作所に入社。2021年にCoachers立ち上げメンバーとして参画。採用関連のクリエイティブやマーケティングの戦略設計、ディレクションを担当。

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