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選考辞退の6割は「面接前」に起きる──中途採用の歩留まりを守る連絡設計
せっかく書類を通過してもらったのに、面接の日、その人は来なかった——。中途採用の現場で、こんな経験はありませんか。
エン・ジャパンが2024年6〜7月に実施した「中途採用の選考辞退」実態調査(293社)では、辞退の起きるタイミングで最も多かったのは「書類選考通過後・面接前」で60%。候補者は、わたしたちと会う前に静かに離れていました。
調査から少し時間が経っていますが、他社と競う速さや候補者体験の重みは、いま一層強まっている気がします。「辞退は仕方ない」で片づける前に、どこで・なぜ離れるのかを、求職者目線で一緒に見てみませんか。
候補者は「会う前」に離れている
選考辞退とは、内定より前の段階で、候補者が選考から降りることを指します。内定辞退が「最後の意思決定」だとすれば、選考辞退はもっと手前、まだお互いをよく知らないうちに起きます。だからこそ見えにくく、対策も後回しになりがちかもしれません。
エン・ジャパンの調査で、辞退が起きるタイミングを尋ねたところ、最も多かったのは「書類選考通過後・面接前」で60%でした。面接前日・当日の「ドタキャン辞退」も52%あり、そのうち83%は「連絡がないまま(すっぽかし)」だったといいます(2018年の同社調査比で10ポイント増)。
辞退の理由として最も多く挙がったのは「他社の選考通過・内定取得」で78%でした。つまり、候補者はわたしたちを嫌ったというより、先に他社が動いたケースが大半だということです。相手の質の問題ではなく、こちらの「間(ま)」の問題——そう捉え直すと、打ち手が見えてきます。
歩留まりは「スピードと応対」で動かせる
では、辞退を減らせた企業は何をしていたのでしょうか。同調査で「効果があった」とされた対策の上位は、特別な仕組みではなく、連絡の速さと、選びやすさへの配慮でした。派手さはないけれど、候補者体験の土台になる部分です。
辞退の6割が「面接前」、理由の8割近くが「他社が先に決まった」だとすれば、勝負を分けるのは応募をもらってから面接までの数日です。ここが遅れるほど、候補者の気持ちは他社に流れていきます。「連絡を早く」「日程を複数」は、裏を返せば候補者の時間を大切にしているというメッセージでもあります。
同時に、そもそもの「入口の質」も効いてきます。求人原稿や採用サイトで働く実態が具体的に伝わっているか。応募の時点で「ここは自分に合いそう」と思えているほど、他社と迷ったときに残ってもらいやすくなります。速さで追いつくだけでなく、最初から選ばれる状態をつくっておくことも、辞退対策の一部だと感じています。
選考辞退についてよくある疑問
今回の数字は1社の調査で、しかも2024年のもの。それでも「面接前に、他社が先に動いて離れていく」という構造は、いまの採用現場の実感にも近い気がしています。わたしたちCoachers自身も、返信が一日遅れただけで空気が変わる場面を何度も見てきました。
辞退を「候補者の心変わり」と受け止めると打ち手がなくなりますが、「まだ気持ちが固まりきる前の、揺れている時間」と捉えると、こちらにできることが見えてきます。連絡の速さ、日程の選びやすさ、そして応募時点での納得感——どれも、候補者への向き合い方そのものです。
これはHRブランディングの話でもあると感じています。求人原稿の段階で「働く実態」がきちんと伝わっていれば、応募者は迷ったときに自社を思い出しやすくなります。速さで追いかけるだけでなく、最初から選ばれる状態をつくっておく。その両輪で、歩留まりは少しずつ変えていけるのかもしれません。
- エン・ジャパン株式会社「『中途採用の選考辞退』実態調査ー人事向け情報サイト『人事のミカタ』アンケートー」(2024年6〜7月実施・293社) https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000890.000000725.html