ブログ
ハイクラス人材の採用競争、求人は4年で2.6倍──年収以外で並ぶための3つの手
求人票に「年収600万円〜」と書ける会社が、この4年で増えました。増えた場所は、IT企業でも外資でもありません。いちばん伸びたのは、建設・不動産の技術職でした。
パーソルキャリアが2026年7月29日に公表した集計では、転職サービス「doda」に新しく載った求人のうち、提示年収の下限が600万円以上のものは、2022年上半期からの4年で約2.6倍。求人全体の増え方(約2倍)を上回っています。
「うちの業界には縁のない話」と思っていた場所で、年収の上のほうが動いている。では、そこに金額で並べない会社は、何を見せればいいのでしょうか。今日はその一手を、一緒に考えてみたいと思います。
出典:パーソルキャリア「転職サービス『doda』、『ハイクラス求人の増加率ランキング』を発表」(2026年7月29日公表/2022年上半期〜2026年上半期にdodaへ新規掲載された求人を集計)
ハイクラス求人は、どこで増えているのでしょうか
先に結論からお伝えすると、増えているのは「専門性の高いIT職」だけではありませんでした。増加率の上位に並んだのは、建設・不動産の技術職、販売・サービス職、営業職です。どれも、多くの会社が当たり前に置いている職種ですよね。
ここでいうハイクラス求人とは、この集計では「中途採用時に提示する年収の下限が600万円以上の求人」のことです。業界共通の定義があるわけではなく、媒体や人材紹介会社によって「800万円以上」「管理職経験あり」など基準はさまざま。今回はあくまで、この線で切ったらこう見えた、という話になります。
出典:パーソルキャリア(2026年7月29日公表・doda新規掲載求人/2022年上半期比)
4位には技術職(組み込みソフトウェア)と技術職(機械・電気)が3.2倍で並んでいます。いわゆる「テック系」がもちろん伸びていないわけではなく、それを上回る勢いで現場・対人の職種が動いた、という順番です。
なぜ、現場や営業の年収レンジが上がっているのでしょうか
リリースが背景として挙げているのは、二つです。ひとつは、東名阪での中長期的なエリア再開発が2040年ごろまで続くこと。もうひとつは、AIの普及を背景としたデータセンター需要の高まりです。つくる仕事の総量が先に決まっていて、それを担える人がそこまで増えていない。だから金額が動く、という構図に見えます。
(建設・建築・不動産・プラント・工場)
出典:パーソルキャリア(2026年7月29日公表・提示年収下限600万円以上のdoda新規掲載求人)
業種側の顔ぶれも、なかなか幅があります。上位3つに続くのは旅行・宿泊・レジャー(3.5倍)と外食(3.4倍)。ここ数年「人が集まらない」と言われてきた領域が並びました。人手不足の話と、ハイクラス求人の話は、別々のできごとではないのかもしれません。
ひとつ気をつけたいのは、これは「掲載された求人の増え方」であって、その金額で採用が決まった件数ではないということです。提示額が上がったからといって、その会社が採れているとは限りません。ただ、候補者の画面に並ぶ求人票の顔ぶれは、確実に変わっています。
年収で並べない会社は、何を見せればいいのでしょうか
ここで、少しだけ見方をひっくり返してみたいと思います。よく語られるのは「年収を上げないと採れない」ですが、実際に起きているのは年収を上げた瞬間に、比べられる相手が変わるということではないでしょうか。600万円と書けば、候補者の検索結果では600万円の会社と並びます。金額で土俵に乗ることと、その土俵で選ばれることは、別の仕事なのだと思います。
そして、金額はいちばん比較しやすい情報です。並べて、大きいほうを選べばいい。逆に言えば、比較しにくい情報のほうが差になりやすい。その金額が何の対価なのか、入社後の3年で何を任されるのか、誰と組むのか——このあたりは、他社の求人票と横並びにできません。わたしたちCoachersも原稿を作るとき、年収欄の数字より、その一行下に何を書くかで悩むことが多いです。
この数字を見て最初に思ったのは、「うちは関係ない」と言える業界が、だいぶ減ったなということでした。建設も、販売も、営業も、どこの会社にもある職種です。つまり同じ職種の求人が、いつの間にか一段高い金額を書いて隣に並んでいる、という状況が、多くの会社で起きている可能性があります。
求人サイトで候補者が最初に動かすのは、たいてい年収レンジのスライダーかもしれません。そこで600万円に線を引いた瞬間、御社の求人票は「600万円の会社たち」の一覧のなかに置かれます。隣も600万円なら、候補者が次に読むのは金額ではなく「この600万円は、何をする対価なのか」のほうではないでしょうか。
わたしたちが現場で候補者から聞くのも、「条件は悪くなかったけれど、入社後の一日が想像できなかった」という声です。金額は覚えていても、任される仕事の輪郭は覚えていない。求人票の年収欄のすぐ下が、いちばん読まれていて、いちばん空白のままになっている場所なのかもしれません。
HRブランディングという言葉を、わたしたちは「どこから接点を持っても、同じ会社の輪郭が見える状態にすること」という意味で使っています。年収の数字は、その輪郭のいちばん外側の一本にすぎません。求人広告の原稿という視点で見ると、金額の隣に置く一行——何をする仕事で、誰と、どこまで任されるのか——のほうが、実は書き換える余地が大きいところです。
とはいえ、相場から大きく離れた金額のままでいい、という話ではないと思っています。上げられるところは上げる。そのうえで、上げた先で並ぶ相手を見て、そこで何を語るかを決める。順番としては、そちらのほうが痛みが少ない気がしています。
- パーソルキャリア株式会社「転職サービス『doda』、『ハイクラス求人の増加率ランキング』を発表」(2026年7月29日) https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000001073.000022215.html
CONTACT
採用に関するご相談・お問い合わせはこちら
採用ブランディング、クリエイティブ制作、求人運用、RPOなど、
採用に関するあらゆるご相談を承ります。まずはお気軽にお問い合わせください。