転職者の48%が口コミで応募・選考をやめた経験──採用の情報開示を見直す
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転職者の48%が口コミで応募・選考をやめた経験──採用の情報開示を見直す

Branding, 2026.07.08 By 中村 尚人

応募ボタンを押す前に、候補者があなたの会社の名前を「別の場所」で検索していたら――と、想像したことはありますか。求人票でも、採用サイトでもない場所です。

ワークポートが2026年5月に転職経験者へ聞いた調査では、8割超が応募前に企業の口コミ・SNSを確認し、48.0%が「その内容が理由で応募や選考をやめた経験がある」と答えました。私たちが磨いた求人原稿の”外側”で、勝負が半分ついているのかもしれません。

とはいえ、これは口コミを消すか、取り繕うかという話ではない気がしています。「見られる前提」で、自社の実態をどう正直に整えて伝えるか。今日はそこを、一緒に考えてみたいと思います。

転職経験者の83.8%が、応募前に企業の口コミ・SNSを確認している(ワークポート2026年5月調査・n=308)。

口コミの内容が理由で応募や選考をやめた経験がある人は48.0%。半数近くが、応募前に静かに離脱している。

効くのは口コミの削除より、実態を良い面も課題も正直に発信すること。両面が見えると73.6%が応募の後押しになると答えた。

候補者は「応募前」に、どこまで会社を調べているのか

結論から言えば、いま多くの候補者は「求人票の外」であなたの会社を確かめています。ワークポートが2026年5月に20〜40代の転職経験者308人へ聞いた調査では、公式サイトや求人票以外に口コミ・SNSを確認する人が83.8%(必ず確認20.5%・よく確認27.6%・たまに確認35.7%)にのぼりました。もはや「調べる人もいる」ではなく、「基本的にみんな調べている」に近い数字です。

気になるのはその先です。口コミの内容が理由で「応募や選考をやめた経験がある」人が48.0%。内訳は、応募をやめた34.5%、選考の途中で辞退11.2%、内定後に辞退2.3%でした。応募数が伸びない・途中で離脱される、その一因が、私たちの見えないところにあるのかもしれません。候補者にとって口コミは、公式情報の”裏取り”の場になっています。

KEY METRIC
48.0%
応募・選考をやめた経験

口コミが理由で離脱した候補者は約半数
転職経験者の48.0%が、口コミの内容を理由に応募や選考をやめた経験があると回答。応募をやめた34.5%/選考途中で辞退11.2%/内定後に辞退2.3%(ワークポート調べ・n=308)。数としては大きくない調査ですが、「調べてから決める」流れは肌感覚とも重なる方が多いのではないでしょうか。

どんな口コミで、候補者は離れていくのか

離脱の引き金は「悪い口コミがあること」そのものより、”公式が言っていることと違う”というズレにあります。同調査で、企業のSNSや口コミを見て「この会社への応募はやめておこう」と感じた要素を聞くと、上位は次のようになりました。ネガティブな投稿はもちろんですが、公式情報と実態の乖離過度なキラキラ演出も、しっかり嫌われています。

IMPACT MAP
社員の不満やネガティブな投稿54.7%
コンプライアンス意識が低いと感じる投稿46.9%
公式情報と実態の乖離45.7%
過度なキラキラ感(演出)44.2%

裏を返せば、候補者が口コミを見る目的も「実態把握」に寄っています。確認する理由の上位は、職場の実態把握77.1%、リスク確認65.1%、そして公式情報の裏付け51.6%。つまり彼らは、私たちの発信を疑いに来ているというより、「本当かどうか」を確かめに来ているのだと感じます。そこで公式の言葉と現場の声が食い違うと、静かに離れていく――そういう構図です。

ネガティブな口コミに、どう向き合えばいいのか

おそらく効果が薄いのは、口コミを消そうとしたり、良い面だけをさらに盛ったりする対応です。同じ調査で、応募を続ける判断材料になったものを聞くと、「良い面・悪い面の両方が見える」73.6%、「現場の空気感が伝わる」51.6%が上位でした。候補者は完璧な会社を探しているのではなく、納得して選べる材料を探しているのだと思います。取り繕うほど乖離が生まれ、正直に伝えるほど信頼が積もる、という向きです。

COMPARISON
かえって離れる対応
取り繕う・盛る・黙る
口コミの削除依頼に走る/公式では良い面だけを強調する/課題には触れない。結果、「公式と実態の乖離」(45.7%)や「過度なキラキラ感」(44.2%)として、逆に離脱の理由になりやすい。

選ばれやすい対応
実態を、良い面も課題も正直に
大変さや向き不向きも一言添え、現場の空気感が伝わる情報を公式から出す。両面が見えることは73.6%が応募の後押しに、現場の空気感は51.6%が判断材料にと回答。

もう一つ、見逃せない数字があります。口コミで不安になった内容について、候補者の多くは企業に直接は聞いてくれません(別のエン・ジャパンの調査では85%が「質問していない」と回答しています)。質問という形で疑問が表に出ないまま、応募や選考が静かに止まる。だからこそ、聞かれる前に公式側から「気になりそうな点」に触れておくことが、そのまま候補者への配慮になるのだと思います。

FAQ
Q
候補者は本当に口コミまで見て応募を決めているのですか?

A
ワークポートの2026年5月調査(n=308)では、転職経験者の83.8%が応募前に口コミ・SNSを確認し、48.0%が内容を理由に応募や選考をやめた経験があると回答しています。「見られている前提」で採用情報を整えるのが現実的です。

Q
ネガティブな口コミは、削除や反論をしたほうがいいですか?

A
削除や過度な演出は、「公式情報と実態の乖離」(45.7%)として逆効果になりやすい面があります。効きやすいのは、良い面も課題も正直に発信すること。両面が見えることは73.6%が応募の後押しになると答えています。

Q
まず何から手をつければいいですか?

A
自社名で一度検索し、候補者と同じ目線で口コミを読むところからをおすすめします。そこで見えた「聞かれる前の不安」を、求人原稿や採用サイトの中で先回りして正直に説明する。実態を変えるべき点は、採用より現場側の課題として持ち帰る、という順番が現実的です。

C
Coachers編集部
HRブランディングの観点から

この調査を読んでいて、私たちが改めて感じたのは「採用広報の勝負は、公式チャネルの外側でも進んでいる」ということでした。求人票や採用サイトをどれだけ磨いても、候補者は必ずそれを”別の声”と突き合わせます。だとすれば、目指すのは完璧に良い会社に見せることではなく、どこから見ても言っていることが揃っている状態なのだと思います。

これはまさにHRブランディングの話だと感じています。ブランディングとは飾ることではなく、実態と発信を一致させ、その一貫性を積み重ねること。採用サイトの情報設計という視点で見ると、「良いことしか書いていないページ」よりも、向き不向きや大変さにも触れたページのほうが、かえって信頼され、口コミとの乖離も生みにくくなります。

わたしたちCoachersも、自社のことを書くときほど筆が滑りがちで、いつも「これは現場の実感と揃っているかな」と立ち止まります。口コミは怖い存在ではなく、実態と発信のズレを教えてくれる鏡なのかもしれません。まずは自社名で検索してみるところから、一緒に始めてみませんか。

ACTIONS
候補者と同じ目線で、自社名を検索してみる
口コミサイト・SNSで自社がどう映っているかを一度見てみます。「応募前に確認する」候補者(83.8%)が、最初に触れる情報がそこにあります。

「聞かれる前の不安」に、公式から先回りで触れる
口コミで見えた懸念点を、求人原稿や採用サイトで正直に説明します。85%が企業に直接は質問しないぶん、先回りの一文が効きます。

良い面と課題を「両面」で見せる設計にする
向き不向きや大変さも一言添え、現場の空気感が伝わる情報を足します。両面が見えることは73.6%が応募の後押しになると回答しています。

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中村 尚人

中村 尚人 取締役 / ディレクター

新卒で株式会社日立製作所に入社。2021年にCoachers立ち上げメンバーとして参画。採用関連のクリエイティブやマーケティングの戦略設計、ディレクションを担当。

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