退職面談で聞いた理由は、本当の理由の一部かもしれません。20〜30代の転職者のうち、前職に本当の退職理由をすべては伝えていない人は70.9%でした。
働きがいのある会社研究所が2026年9月9日に公表した調査の数字です。伝えなかった理由で最も多かったのは「本音を伝えても改善されないと思ったから」の41.5%でした。では、退職面談で何をどう聞けばいいのでしょうか。
この記事では、退職面談で聞く5つの質問と、誰がいつ聞くかの決め方を紹介します。
退職面談とは?辞める理由を聞き、職場と次の採用に戻すための面談
退職面談とは、退職が決まった社員から辞める理由や職場への意見を聞き、職場の改善や次の採用に生かすための面談のことです。
引き留めの面談とは目的が違います。引き留めは「残ってもらう」ための話し合いで、退職面談は「なぜ辞めるのか」を知るための聞き取りです。
この2つを同じ場で行うと、理由を話すほど説得の材料を渡すことになりかねません。社員が理由を短く済ませたくなっても不思議ではありません。
退職面談で聞いた理由は、職場の課題を知る材料になるだけではありません。求人票や面接で伝えていた内容が、入社後の実際と合っていたかを確かめる材料にもなります。
退職面談で本音は聞けている?転職者の70.9%は本当の理由をすべては伝えていない
20〜30代の転職者330人のうち、前職に本当の退職理由を「一部だけ伝えた」人は42.1%、「伝えなかった」人は28.8%で、合わせて70.9%がすべては伝えていませんでした。

対象は、過去3年以内に自分の意思で退職し転職した20〜30代です。伝えた相手は、直属の上司や人事担当者などの会社側の人です。
すべては伝えなかった人に理由を聞くと、最も多かったのは「本音を伝えても改善されないと思ったから」で41.5%でした。
次が「引き留めや説得を避けたかったから」の25.6%です。「本音を伝えることで、上司との関係が悪化すると思ったから」と「職場全体に、率直な意見を言いにくい雰囲気があったから」が、それぞれ20.5%で続きます。
並べてみると、上位の理由は社員本人の性格ではなく、聞いた後どう扱われるか、誰が聞くかに関わるものです。退職面談の聞き方と進め方で、変えられる余地があります。
退職面談では何を聞く?本当の理由に近づく5つの質問
退職面談の質問は、「なぜ辞めるのですか」と1回で聞くより、いつ・何があったかを順に聞く形にしておくと、話が具体的になります。
「なぜ」と聞かれると、人は説明しやすい理由を選びがちです。時期と出来事から聞けば、評価や感情を言葉にしなくても答えられます。
- 「辞めようと考え始めたのは、いつ頃でしたか」
同じ調査では、退職を考え始めてから会社に伝えるまで3か月以上かかった人が53.9%でした。きっかけは、退職を伝えた日より数か月前にあるかもしれません。 - 「その頃、仕事や職場で何がありましたか」
異動、担当替え、上司の交代、繁忙期など、出来事を聞きます。良い悪いの評価を求めない問いなので、上司や同僚の名前を出さずに答えられます。 - 「入社前に聞いていた話と、違ったことはありましたか」
仕事内容、働き方、任される範囲などのズレを聞きます。ここで出た答えは、求人票や面接の説明を直す材料になります。 - 「何が変わっていたら、続けていたと思いますか」
不満ではなく、変えてほしかったことを本人の言葉で聞きます。職場で何から手を付けるかを決めるときに、そのまま使える答えになります。 - 「今日の話は、誰にどこまで共有してよいですか」
共有の範囲を本人に決めてもらいます。本音を伝えると上司との関係が悪化するという心配は、退職日までの日々にも、退職後の関係にも及ぶからです。
面談の最初には「引き留めの場ではないこと」と「話した内容が退職の手続きや評価に影響しないこと」を伝えます。この一言がないと、5つの質問はどれも身構えて聞かれます。
退職面談は誰が、いつ行う?直属の上司以外が、引き留めの話が終わってから
退職面談は、直属の上司ではない人が、退職日が決まり引き留めの話が終わってから行うほうが、本音を聞きやすいと考えられます。
本当の理由を伝えなかった理由には、「引き留めや説得を避けたかった」と「上司との関係が悪化すると思った」が挙がっていました。どちらも、聞き手が直属の上司で、退職がまだ決まっていない時期ほど強くなりそうな心配です。
聞き手は人事担当者か、別の部署の管理職が向いています。社長と直接働いている社員なら、社長以外の人が聞くほうが話しやすいかもしれません。
時期は、退職日が決まった後、引き継ぎで慌ただしくなる前が目安です。面談で話しきれなかった人のために、退職後に答えられる短いアンケートを用意しておくのも手です。
同じ調査では、前職で日頃から直属の上司に率直に話せていなかった人が61.5%いました。
話せていた人は52.3%が本当の理由をすべて伝えていましたが、話せていなかった人では18.2%です。退職面談で本音を聞けるかどうかは、面談の日より前の関係にも左右されるようです。
在職中の社員に「なぜ続けているか」「何があれば辞めるか」を聞く面談は、ステイインタビューと呼ばれます。退職面談で聞く5つの質問は、在職中の面談でもそのまま使えます。
退職の理由は、求人票から応募、面接、内定、入社と続いてきた候補者体験の答え合わせでもあります。入社前に伝えた話と入社後の実際がどこでずれたのかは、辞める人にしか分からないことがあります。
次にその求人票を開く候補者は、前任者が何に戸惑って辞めたのかを知りません。面接で「前任の方はなぜ辞めたのですか」と尋ねる候補者が知りたいのは、自分も同じところでつまずかないかということかもしれません。
退職面談で聞いたズレを求人票や面接の説明に戻しておけば、その問いに具体的に答えられます。辞めた人の言葉が、次に入る人のための説明になります。
今日からできる3つ
- 退職面談の聞き手を、直属の上司以外に決めておく
人事担当者か別部署の管理職を、退職面談の担当として決めます。本音を伝えなかった理由には、引き留めの回避(25.6%)と上司との関係悪化の心配(20.5%)が挙がっていました。 - 5つの質問を面談シートにして、時期と出来事から聞く
「なぜ辞めるのか」から始めず、いつ頃から考え、その頃何があったかを先に聞きます。出来事の質問は評価を求めないので、言いにくいことも話しやすくなります。 - 聞いた理由から1つ、変えたことを社内に返す
求人票の一文でも、担当替えのやり方でも構いません。本音を伝えなかった理由の1位は「改善されないと思った」41.5%でした。変えた事実を示すことが、次の退職面談の答えやすさにつながる可能性があります。
よくある質問
Q. 退職面談は誰が行うのがよいですか?
直属の上司以外の人が向いています。人事担当者か、別の部署の管理職です。本当の退職理由を伝えなかった理由には、引き留めを避けたかったことや、上司との関係が悪くなる心配が挙がっています。
Q. 退職面談はいつ行えばよいですか?
退職日が決まり、引き留めの話が終わった後が目安です。引き継ぎで慌ただしくなる前に時間を取ります。話しきれなかった人のために、退職後に答えられる短いアンケートを用意しておく方法もあります。
Q. 退職面談で本音を聞くにはどうすればよいですか?
最初に引き留めの場ではないと伝え、「なぜ辞めるのか」より、いつ頃から考え、その頃何があったかを順に聞きます。日頃から上司に率直に話せていた人ほど、退職時に本当の理由をすべて伝えていたという調査結果もあります。
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出典
株式会社働きがいのある会社研究所(Great Place To Work® Institute Japan)「20~30代転職経験者の7割以上が『本当の退職理由をすべては伝えていない』」2026年9月9日公表・調査2026年8月5〜7日・インターネット調査・過去3年以内に自ら退職し転職した20〜30代 n=330 kyodonewsprwire.jp



