中途採用の8月、”今夏転職”検討57.5%──動くのは”迷っている”6割
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中途採用の8月、”今夏転職”検討57.5%──動くのは”迷っている”6割

Branding, 2026.08.01 By 中村 尚人

この夏、転職を検討・実施している人は57.5%。——そう聞くと、応募が殺到しそうな気がしてきます。ところが同じ調査で「もう転職した」「転職する予定がある」と答えた人は、合わせて9.3%しかいませんでした。

残りの多くは、迷っている人です。決めきれていないから、まだ動いていない。では、その迷いはどこで晴れるのでしょうか。

8月は、お盆や夏季休暇で企業側の動きも緩みやすい時期です。だからこそ、迷っている人に向けて求人票を一段だけ整えておく価値があるかもしれません。今日はその「一段」を、一緒に考えてみたいと思います。

KEY DATA / この記事の数字
直近3ヶ月で転職を意識した就業者(20〜50代・n=407) 61.4%
この夏の転職を「検討・実施している」と答えた人 57.5%
そのうち「迷いはあるが検討中」と答えた人(回答者全体に占める割合) 35.4%
転職を意識した理由の1位「給与に不満を感じる」 35.2%

出典:Job総研(パーソルキャリア)『2026年 転職意識調査』2026年7月8〜13日実施・有効回答407人

この夏の転職検討57.5%、その内訳を割ってみると

結論から言うと、この夏に動く人の大半は「決めた人」ではなく「迷っている人」でした。Job総研(パーソルキャリア)が2026年7月に実施した調査では、今夏の転職を検討・実施していると答えた人が57.5%。その内訳で最も多かったのは「迷いはあるが検討中」で、回答者全体の35.4%を占めています。

IMPACT MAP / 「今夏の転職」57.5%の内訳
迷いはあるが検討中35.4%
本格的に検討中12.8%
転職する予定がある6.1%
すでに転職した3.2%

出典:Job総研『2026年 転職意識調査』(2026年7月実施・n=407)

「すでに転職した」3.2%と「転職する予定がある」6.1%を足しても9.3%。つまり、今夏動く人のうち行き先まで決まっている人はごく一部で、57.5%の6割強(35.4ポイント分)は「迷いはあるが検討中」にとどまっている計算になります。ここでいう迷い層とは、転職したい気持ちはあるものの、応募先も時期も決めきれていない候補者のことです。

なお、この調査はJobQ Townという転職情報サービスの登録者を対象にしているため、世の中全体の平均よりは転職への関心が高めに出ている可能性があります。それでも「動く人の中身が、決めた人ではなく迷っている人に偏る」という傾向自体は、わたしたちが採用の現場で感じている感覚とも近いように思います。

迷いの理由は、給与だけではありませんでした

では、その迷いはどこから来ているのか。同じ調査で「直近3ヶ月に転職を意識した理由」を見ると、1位は「給与に不満を感じる」35.2%。ただし2位「業務内容が合わない」34.8%、3位「成長を感じられない」28.0%が僅差で続きます。給与が唯一の引き金というより、仕事の中身と先の見通しが、ほぼ同じ重さで並んでいるのが実態でした。

MYTH vs FACT
MYTH
転職を考えている人は、条件さえ良ければ動いてくれる。だから条件で負けている自社には打つ手がない。
FACT
理由の上位3つは35.2%・34.8%・28.0%と僅差。条件だけで決まっているわけではなく、「今の仕事が合わない」「この先が見えない」も同じくらい効いています。ここは、給与で並べない会社にも書ける領域かもしれません。

「業務内容が合わない」「成長を感じられない」は、裏を返せば入る前に中身と見通しが分からなかったということでもあります。応募が集まらないとき、わたしたちはつい「うちに魅力がないからだ」と考えてしまいがちです。けれど実際には、迷っている人が判断材料を手に入れられないまま静かに離れている——そういう構造の問題であることも少なくない気がしています。

8月、迷っている人に届く求人の整え方3ステップ

やることは「魅力を増やす」ではなく「判断材料を足す」です。順番としては、①仕事の中身 → ②半年後の見通し → ③聞ける入口、の3つ。どれも新しい予算をかけずに、今週のうちに手を付けられる範囲に収まります。

1
求人票の冒頭3行を「仕事の中身」に書き換える
会社紹介や理念ではなく、任せたい仕事の具体を先に置きます。1日の流れ、担当する範囲、どこまで自分で決められるか。転職を意識した理由の2位が「業務内容が合わない」(34.8%)である以上、迷いはここで生まれています。
2
「入社半年後にできるようになること」を1行足す
研修制度の名前ではなく、半年後の姿を具体で書きます。「一人で見積もりまで出せるようになります」といった一文です。「成長を感じられない」(28.0%)で今の会社を離れたい人にとって、これは条件表よりも読みたい情報かもしれません。
3
応募の手前に、軽く聞ける入口をひとつ置く
カジュアル面談でも、採用サイトの質問フォームでも構いません。迷っている人にとって「応募」は重い一歩です。その手前に小さな段差を用意しておくと、判断材料を取りに来てもらえる機会が増えます。
C
Coachers編集部
HRブランディングの観点から

採用の打ち手を考えるとき、わたしたちはどうしても「決めている人」を想定しがちです。求人票も、決めた人がチェックリストで比べる前提で書かれていることが多い。けれど今回の数字が示しているのは、実際に目の前を通り過ぎているのは、もっと手前で立ち止まっている人たちだということでした。

CANDIDATE VIEW | 求職者目線

御社の求人票を開いた一人の候補者は、まだ「転職する」と決めていないかもしれません。同調査で今夏の転職を検討・実施している57.5%のうち、最も多かったのは「迷いはあるが検討中」35.4%でした。決め手を探しているのではなく、まだ「決めていいのかどうか」を探している段階です。

わたしたちが現場で会ってきた候補者にも、給与だけで決める方はそれほど多くありません。「今の仕事のどこが嫌なのか、自分でもうまく言葉にできない」まま求人を見比べている——そういう声を何度も聞いてきました。その人が求人票に探しているのは、比較表を埋める数字ではなく、自分の毎日がどう変わるのかを想像できる材料なのだろうと感じています。

だとすると、8月にできることは意外と地味です。新しい媒体を増やすより先に、いま出している求人原稿の1行が「迷っている人の問いに答えているか」を読み返す。HRブランディングという言葉は大がかりに聞こえますが、その入口は、こうした一文の解像度を上げていく作業の積み重ねだと思っています。求人広告の原稿を見直すだけでも、届く相手はずいぶん変わります。

わたしたちCoachers自身も、自社の採用では同じことに何度もつまずいてきました。書いたつもりで書けていない、というのは本当によくあることですよね。夏の少し静かな時期は、その読み返しをするのにちょうどいいタイミングなのかもしれません。

ACTIONS / 今日からできる3つ
求人票の冒頭3行を読み返す
会社紹介で始まっていたら、仕事の中身に差し替えてみます。転職を意識した理由の2位が「業務内容が合わない」(34.8%)だからこそ、最初に読まれる場所を中身に使う意味があります。
「半年後にできること」を1行だけ足す
「成長を感じられない」(28.0%)は、制度が足りないというより見通しが見えないことの裏返しです。制度名ではなく、半年後の具体を書くほうが伝わります。
応募より軽い接点を1つ用意する
迷い層にとって応募は「決める」行為そのものです。決めずに聞ける場所があると、離脱していた人の一部が判断材料を取りに来てくれます。
FAQ / よくある質問
Q. 8月は中途採用に向かない時期でしょうか?
お盆や夏季休暇で企業側の動きが緩みやすい時期なのは確かです。ただJob総研の調査では、この夏の転職を検討・実施している人は57.5%。採用側の動きが静かになる時期だからこそ、迷っている人に見つけてもらいやすいとも言えるかもしれません。
Q. 「迷っている」段階の人には、何を伝えると響きますか?
条件よりも、仕事の中身と半年後の見通しかもしれません。同調査で転職を意識した理由は「給与に不満」35.2%、「業務内容が合わない」34.8%、「成長を感じられない」28.0%と僅差で並んでいます。給与で並べない会社ほど、後ろ2つに書ける余地が残っています。
Q. 予算をかけずに8月にできることはありますか?
求人原稿と採用サイトの文章の読み返しは、費用をかけずに今日から始められます。応募が来ない原因を「魅力が足りない」と考えるより、「判断材料が足りない」と置き換えてみると、直す場所が具体的に見えてくることが多いです。
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REFERENCES
  • Job総研(パーソルキャリア株式会社)「2026年 転職意識調査」(2026年7月8〜13日実施・有効回答407人) https://jobsoken.jp/info/20260729/
中村 尚人

中村 尚人 取締役 / ディレクター

新卒で株式会社日立製作所に入社。2021年にCoachers立ち上げメンバーとして参画。採用関連のクリエイティブやマーケティングの戦略設計、ディレクションを担当。

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