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夏のボーナス後、就業者の48.7%が転職を検討・実行──いま選ばれる求人の整え方
「ボーナスをもらってから、辞めよう」——。もし御社の社員がそう考えていたとしたら、少しどきっとしますよね。でも視点を変えると、いまこの瞬間、他社でそう決めた人たちが次々と転職市場に出てきている、ということでもあります。
IT人材サービスのPE-BANK社が2026年6月に行った調査では、ボーナス支給後に転職を「考えている・考えたことがある・実際にした」人は、合わせて48.7%にのぼりました。就業者のほぼ2人に1人が、賞与をキャリアの「区切り」として意識している計算です。
夏のボーナスが出そろう7月は、1年の中でも候補者が動きやすい季節。この時期に動く人たちは、どんな気持ちで求人を見ているのでしょうか。そして、選ばれる側の企業は何を整えておけばいいのか。一緒に考えてみたいと思います。
出典:PE-BANK調べ「2026年 夏のボーナス実態調査」(2026年6月実施・全国20〜60歳の就業者n=300)
夏のボーナス後、転職市場は本当に動くのか?
結論からいうと、「ボーナス支給後は転職が動く」という通説は、今年のデータでも裏づけられています。PE-BANK社の調査では、ボーナス支給後の転職について「現在考えている」が10.3%、「考えたことはある」が22.7%、そして「実際に転職したことがある」が15.7%。合計すると48.7%——就業者の約半数が、賞与を転職のトリガーとして経験・意識していることになります。
出典:PE-BANK調べ「2026年 夏のボーナス実態調査」(2026年6月・n=300)
もちろん、n=300のインターネット調査という規模ですから、この数字だけで市場全体を語るのは早計かもしれません。ただ、「賞与を受け取ってから動く」のは損得を考えれば自然な行動で、毎年6〜7月と12〜1月に転職活動が活発になるのは、採用の現場でも長く実感されてきたパターンです。今年は物価高で賞与への不満が高まりやすい状況も重なっており、この夏も例年どおり——あるいは例年以上に——市場が動く可能性は十分にありそうです。
採用する側から見ると、これは年に数回しかない「母集団がふくらむ季節」です。しかも、賞与をきちんと受け取ってから計画的に動く層には、現職で一定の評価を得ている人材が少なくありません。7月の求人施策は、そうした層に届くかどうかで成果が変わってきます。
きっかけは「給与」59%——でも、額の競争だけが答えなのか?
では、いま動き出した候補者たちは何を求めているのでしょうか。同調査で転職を検討するきっかけを聞くと、最も多いのは「給与」で59.0%。40〜50代では70.0%まで上がります。一方、20代では「ボーナス」をきっかけに挙げた人が41.3%と全世代で最も高く、賞与そのものが若手の去就を左右していることがうかがえます。
出典:PE-BANK「2026年 夏のボーナス実態調査」(2026年6月・n=300)
「やはり給与か……」とため息が出そうになりますが、ここで少し立ち止まりたいのは、すべての企業が額で応戦できるわけではないという現実です。帝国データバンクが2026年6月に行った調査(n=1,043社)では、今年の夏季賞与を「増額する」企業は全体の37.1%。大企業では44.4%まで上がるものの、中小企業は36.0%にとどまります。増額競争を仕掛けられるのは、そもそも一部の企業だけなのです。
だからこそ、額で競えない企業に残されているのは「見せ方」の勝負だと、わたしたちは考えています。給与への不満で動き出した候補者は、皮肉なことに、次の会社を「額だけ」では選びません。同じ失望を繰り返したくないからこそ、仕事内容、裁量、働き方、そして会社の正直さを、求人票や採用サイトから注意深く読み取ろうとします。給与以外の魅力をどう言語化するかは、転職理由TOPは給与、でも上がるのは4割──中小が勝負する給与以外の3レイヤーでも詳しく書いていますので、あわせてご覧ください。
いま、採用担当は何から手をつければいい?
まず押さえたいのは、この季節に動く候補者の「時間軸」です。賞与を受け取ってから動くと決めていた人は、支給日を境に一気に情報収集を始めます。つまり、7月中旬から夏いっぱいの求人ページへのアクセスは、普段より「本気度の高い訪問」が混ざりやすい。ここで数カ月前のまま放置された求人原稿や、給与欄に「当社規定による」としか書かれていない採用サイトに出会うと、候補者は静かに離脱していきます。
逆にいえば、いまの時期に原稿の鮮度と情報の具体性を整えておくだけで、動き出した候補者の受け皿になれる可能性が高まります。特別な予算がなくても、今週から始められることは意外とあるはずです。具体的なアクションは記事の後半にまとめました。その前に、候補者の側からこの季節がどう見えているのか、少しだけ想像してみたいと思います。
※この時期区分は公表統計ではなく、Coachersが採用支援の現場で見てきた動きを整理したものです。
見落とされやすいのは、企業側がいちばん動きにくい8月に、候補者はいちばん動くという食い違いです。夏季休暇で採用担当が不在になり、面接日程の調整が翌週送りになる。その1週間が、候補者にとっては他社の内定が出るまでの時間になっています。休暇前に、応募があった場合の一次連絡だけ誰が返すかを決めておく。それだけでも、この季節の取りこぼしはかなり減らせます。
今回の調査で印象に残ったのは、48.7%という数字そのものより、「賞与が心の区切りになる」という心理の普遍さでした。金額への納得・不満にかかわらず、明細を受け取った瞬間に、多くの人が一度は自分のキャリアを見つめ直す。採用側にとっての7月は、単に応募が増える月ではなく、「見つめ直した人たち」と最初に出会う月なのだと思います。
6月末の夜、ボーナスの明細を見て「物価はこんなに上がったのに、この額か」と、静かに転職サイトを開いた一人の候補者を想像してみてください。その人が最初に見るのは、たしかに給与欄かもしれません。でも、給与への失望から動き出した人ほど、「次は額だけで会社を選ばない」と心に決めている——そんなふうにも考えられないでしょうか。
実際、わたしたちが採用支援の現場でお会いする転職者の方々も、「前職より少し下がってもいいから、納得して働ける場所を」と話される方が少なくありません。御社の求人票が、給与のその先——どんな仕事を、どんな裁量で、誰と進めるのか——まで語れているかどうか。この季節、そこが静かに比べられています。
額で競える企業が一部に限られる以上、多くの企業にとっての勝負どころは、給与以外の魅力をどこまで具体的に、正直に言語化できるかに移っています。これはまさにHRブランディングの領域で、求人広告の原稿を一段深く見直すだけでも、候補者に届く情報の質は変わってきます。
わたしたちCoachersも、この季節は自社の採用ページを見直すタイミングにしています。年に数回の「市場が動く季節」を、慌てて追いかける月ではなく、備えて迎える月にできるといいですよね。
- PE-BANK「ボーナスは”消費”より”備え”へ ~PE-BANK『2026年 夏のボーナス実態調査』を実施」(2026年6月25日) https://pe-bank.co.jp/news/20260625/
- 帝国データバンク「2026年夏季賞与の動向アンケート」(2026年6月調査・有効回答1,043社) https://www.tdb.co.jp/report/economic/20260611-2026summerbonus/
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