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母集団形成の進め方──求人18.7%増・希望者0.3%増の今、3層で広げる設計表

母集団形成の進め方──求人18.7%増・希望者0.3%増の今、3層で広げる設計表

求人は1年で18.7%増えたのに、転職を希望する人は0.3%しか増えていない。dodaが2026年9月17日に発表した、8月の数字です。

同じ人を、去年より多くの求人で取り合っています。この状況で掲載を増やすだけでは、母集団は思ったほど広がりません。では、何から変えればいいのでしょうか。

この記事では、母集団形成とは何かを整理したうえで、求める人を3つの層に分け、層ごとに入口と目標数を決める進め方を紹介します。法人営業1名を例にした設計表の記入例も置きました。

母集団形成とは?中途採用で数だけを追うと何が起きるか

母集団形成とは、選考の母数になる応募者や候補者を集める活動のことです。中途採用では「何人集めたか」より、「選考に進めたい人が何人いたか」で数えると、打ち手を間違えにくくなります。

母集団には、応募してきた人だけでなく、スカウトを送れる人、社員が紹介できる人、過去に応募してくれた人も入ります。求人広告は、その入口の1つにすぎません。

数だけを追うと、掲載を増やして応募の総数は伸びても、要件に合わない応募が増えがちです。書類を読む手間が増え、合う人への連絡が後回しになります。

母集団は「数×合う人の割合」で考えると整理しやすくなります。数を増やす前に、誰を母集団に入れるかを決めておく。これが、この記事の出発点です。

なぜ今、中途採用の母集団が集まりにくいのか?

中途採用の母集団が集まりにくいのは、求人の増え方に転職希望者の増え方が追いついていないためです。dodaの2026年8月のデータでは、求人数が前年同月比18.7%増、転職希望者数は0.3%増でした。

2026年8月の前年同月比 求人数+18.7%・転職希望者数+0.3%(doda調べ)

doda独自の定義で算出した数字で、転職市場全体の数ではありません。8月1か月の数字で、転職希望者数は前月比では5.1%減っています。それでも、求人と希望者の増え方の差ははっきり出ています。

同じ月の転職求人倍率は2.86倍で、前年同月から0.44ポイント上がっています。doda登録者1人に対して、採用予定が3人分近くある計算です。

同じ経験の人を、同じ媒体で、去年より多くの求人が探している。そうなると、1社あたりに届く応募は薄くなります。

ここで掲載の枠や媒体を足しても、競合の多い場所に、さらにお金を入れることになりがちです。先に変えたいのは、探す範囲(誰を)と入口(どこで)のほうです。

母集団形成の進め方は?求める人を3つの層に分ける

母集団形成は、①求める人を3つの層に分ける、②層ごとに入口を決める、③層ごとに目標数を決める、の3段で進めると整理できます。1つの要件のまま入口だけ増やすより、競合の少ない層に手が届きます。

  1. 求める人を3つの層に分ける
    「すぐ任せられる経験者(ど真ん中)」「近い仕事の経験者(隣の層)」「経験はないが素地のある人(育てる層)」に書き分けます。ど真ん中だけで探すと、競合のいちばん多い層でしか戦えません。
  2. 層ごとに入口を決める
    わたしたちが見てきた現場では、ど真ん中の人ほど在職中で、自分から求人を探し回らないことが多くあります。ど真ん中はスカウトや人材紹介、隣の層と育てる層は求人広告や社員の紹介、というように層で入口を変えます。
  3. 層ごとに目標数を決める
    「応募○人」をまとめて1つ置くのではなく、層ごとに数を置きます。どの層が足りないかが分かれば、媒体を丸ごと増やさず、足りない層の入口だけを足せます。

隣の層と育てる層を入れるには、求人票の応募資格も合わせて直します。必須の欄に「同業界の経験」を残したままでは、隣の層は応募の前に離れていきます。

必須は本当に外せない1〜2個に絞り、残りは歓迎に移します。育てる層には、入社後に何をどこまで教えるかを一行添えると、応募の判断がしやすくなります。

例:母集団の設計表(法人営業1名の場合)

① ど真ん中:同じ業界で法人営業3年以上/入口:スカウト月30通・人材紹介1社/目標:書類通過3人

② 隣の層:業界を問わず法人営業の経験あり/入口:求人広告(仕事内容に「既存のお客様8割・新規2割」と書く)/目標:書類通過6人(応募15人を想定)

③ 育てる層:接客・販売で3年以上、営業は未経験/入口:求人広告・社員の紹介(求人票の歓迎欄に接客経験を書く)/目標:書類通過3人(応募10人を想定)

架空の会社の記入例です。目標は3層とも「書類通過」でそろえています。数は仮に置いたものなので、自社の過去の通過率で置き換えてください。

Coachers編集部の考察

母集団形成は「集め方」の話に見えますが、手を付けてみると多くは「誰を採るか」の話に戻ってきます。層を分けると、面接で確かめることも変わります。育てる層なら、経験ではなく素地を見る面接が要ります。

母集団の設計は、求人票、応募、面談、内定、入社と続く候補者体験の入口にあたります。求人票で「未経験も歓迎」と書いたなら、面接の評価軸や入社後の育て方も、その約束に合わせておく必要があります。

入口だけ広げて面接で「やはり経験者がいい」となれば、応募してくれた人の時間を使わせただけになります。

求職者目線

別の業界で法人営業をしてきた人が、御社の求人票を開いたとします。必須の欄に「同業界の経験3年以上」とあれば、その時点で画面を閉じるかもしれません。

「業界の経験は問いません。最初の3か月は先輩の商談に同行します」と一行あるだけで、その人は自分の入る余地を見つけられるはずです。

求人が増え、競合が多い状態が続くうちは、同じ層を同じ入口で探し続けるほど苦しくなります。層を1つ増やすことは、母集団を広げるいちばん安い手の1つです。

今日からできる3つ

  1. 募集中の職種を、3つの層に書き分ける
    ど真ん中・隣の層・育てる層を1行ずつ書きます。ど真ん中しか書けない場合は、競合の多い層だけで探している可能性があります。
  2. 応募資格の「必須」を1つ、「歓迎」に移す
    必須が1つ減ると、隣の層が応募しやすくなります。
  3. 過去半年の応募を、層と入口で数える
    どの層がどの入口から来ていたかが分かると、足りない層の入口だけを足せます。媒体を丸ごと増やす前に、打つ手を絞れます。

よくある質問

Q. 母集団形成とは何ですか?

選考の母数になる応募者や候補者を集める活動です。中途採用では、応募者に加えて、スカウトを送れる人、社員が紹介できる人、過去の応募者も母集団に含めて考えます。

Q. 母集団形成の方法にはどんなものがありますか?

求人広告、スカウト(ダイレクトリクルーティング)、人材紹介、社員の紹介(リファラル採用)、自社の採用サイトなどがあります。どれが合うかは、集めたい層によって変わります。

Q. 母集団は多いほど良いのですか?

多いほど良いとは限りません。要件に合わない応募が増えると、選考の手間が増え、合う人への連絡が遅れます。目標は「選考に進めたい人の数」で置くのがおすすめです。

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出典

doda「転職求人倍率レポート」2026年9月17日発表・2026年8月のデータ(求人数・転職希望者数はdoda独自の定義により算出) doda.jp

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